/2007年10月号

トップ > マガジン > 2007年10月号 > 特集:二酸化炭素をめぐる新たな方程式


定期購読

ナショジオクイズ

国会議員に占める女性の割合が61%と193カ国の中で最も高い国がルワンダ。では、日本はどれくらいの割合で何位でしょうか?

  • 39.7%で16位
  • 23.5%で78位
  • 10.2%で165位

答えを見る

ナショジオとつながる



特集

二酸化炭素をめぐる
新たな方程式

OCTOBER 2007

文=ビル・マッキベン

技術だけでは、二酸化炭素を減らせない。
立ち向かうには、いくつもの対策が必要だ。

 産業革命以前、大気中の二酸化炭素の濃度は280ppmほどだった。二酸化炭素の分子は熱を吸収する構造になっていて、地表付近の熱を宇宙へ逃がさず、大気中にとどめる作用がある。この280ppmという二酸化炭素濃度が温度の調節機能を発揮し、これまで地球の平均気温を約14℃に保ってきた。そのおかげで、人類は文明を発展させ、都市を築き、食料となる作物を育て、生活に欠かせない水を確保することができた。高緯度地域で季節の移りかわりを楽しめるのも、二酸化炭素のおかげだ。

 しかし、人類が電力を得るために石炭やガス、石油を燃やすようになると、二酸化炭素濃度は上がりはじめた。測定が始まった1950年代後半には、すでに315ppm前後に達していた。現在は380ppmで、さらに年に約2ppmの割合で増えつづけている。2ppmというと微々たる量に思えるが、地表1平方メートル当たりの二酸化炭素が吸収する熱量が数ワット増え、地球全体では温暖化はかなり加速する。

 これまでに人類は地球の平均気温を0.5℃以上も上げてきた。大気中の二酸化炭素がさらに増えると何が起こるのか。正確な予測は不可能だが、すでに温暖化の影響で、地球上の氷や雪の大半が解けはじめ、季節と降水パターンが変化し、海水面は上昇しつづけている。

 今、私たちが何をしようとも、今後しばらくは、温暖化は進行する。熱が大気を暖め、気温として計測可能になるまでには、時間のずれがあるからだ。つまり、当面の地球温暖化は止めようがないのだ。人類が取り組むべきなのはもっと地味な課題--被害を最小限に抑え、事態が制御不能に陥るのを防ぐことだ。実際には、それすら容易ではない。つい最近まで、温暖化がどこまで進むと破局的な事態になるかを示す明確なデータがなかったためだ。

 現在では、以前より具体的なイメージがつかめるようになってきた。ここ数年に発表された一連の報告書によれば、二酸化炭素濃度が450ppmに達すると危険らしい。450ppmを超えると、グリーンランドと南極大陸の西側の氷床が解けだし、海水面が一気に上昇すると科学者は考えている。この数値は、最も確からしいとはいえ、あくまで推定にすぎないし、メタンや一酸化二窒素など、二酸化炭素より影響の少ない温室効果ガスは含まれていない。しかし、目安にはなるはずだ。この臨界値と現状の差は急速に縮まっている。このまま二酸化炭素濃度が年に2ppmずつ増えつづけると、わずか35年で限界に達してしまう。

 このように、数学的な視点から見ると、温暖化問題は決して複雑なものではない。しかし、だからといって問題が深刻でないというわけではない。現在のところ、二酸化炭素排出量の削減に取り組みはじめたのは、日本とEU(欧州連合)だけ。しかも、両者とも控えめな削減目標を達成できるかどうかさえ危ぶまれている。

 一方、世界全体の4分の1を占める米国の二酸化炭素排出量は、着実に増えつづけている。中国とインドの排出量も、ここにきて一気に増えはじめた。両国の巨大な人口と急激な経済成長を考えると、世界全体で排出量を削減するのはますます難しいように思える。最近中国では、ほぼ週に1基のペースで石炭を燃料とする火力発電所が建設されている。二酸化炭素の排出量は間違いなく増えるだろう。

1Next


ナショナル ジオグラフィック バックナンバー