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特集

知られざる
アリたちの驚異

SEPTEMBER 2007

取材の現場から

写真家の取材ノート
マーク・モフェット
写真=Frank Sulloway
最高の経験

 キッカイアリ属のアリを見つけるのを手伝おうと、引退した昆虫学者ロイド・デイビスが、エクアドルにあるティプティニ研究所まで同行してくれた。ロイドは希少種のアリや、見つけにくいアリを見つけるのがとてもうまい。彼は、土と枯葉を乗せた白いトレイの上に覆いかぶさるような姿勢で、実に辛抱強く何時間もじっと座り、宝石職人が使うルーペを手に、ほんのわずかな動き、すなわちアリを見逃すまいとしていた。

 アリを研究していても、キッカイアリ属のアリを一度も見られずに終わる人もいる。1匹見られればいいほうだ。ロイドはそのアリを、2匹も見ている。驚いたことに、エクアドルで一緒に過ごした2週間で、彼は3匹目を目撃した。彼が見つけたアリの写真は、本誌に掲載されている。キッカイアリ属のアリの数は、もしかしたら少なくはないのかもしれないが、お目にかかる機会は本当に稀なのだ!

最悪の体験

 デビッド・ロイドと私はティプティニで、カクレウロコアリ属のアリがカタツムリを餌にするという仮説を証明したいと思っていた。この動きの遅いアリは自分の体に泥をかぶせるので、私は「泥アリ」と呼んでいる。巣でカタツムリの殻が見つかっているということは、本当なのだろうか?アリを研究しているエクアドルの学生、デビッド・ドノソも手伝ってくれたが、ひとつ問題があった。ちょうどいいサイズの、小ぶりなカタツムリが見つからないのだ。アリと同じくらいの大きさのカタツムリは、泥アリの上を踏み越え、べとべとにしていってしまう。なんてことだ!それでもようやく、小さなカタツムリを何匹か見つけて、アリはエスカルゴが好きだということを証明できた。

最も奇妙な思い出

 私はできるだけ、自然のなかで動物を撮るよう努力している。しかし、それが全く不可能な場合もある。滑空するアリを野生の状況で撮影するチャンスも、ないわけではないとわかっていた。事故だったり、誰かに落とされたりとさまざまだが、とにかく毎日、たくさんのアリが木から落下する。研究者たちはそれを、“アリの雨”と呼んでいる。しかし、そんな中の一匹がうまい具合に私のカメラの前を通って落ちてくれる可能性は、ないに等しいような気がした。そこで、カメラを三脚にセットし、アリを何匹か集めて、レンズの前を通るように落としてみた。こんな理想的な条件の下でさえ、滑空のポーズをとっているアリの、焦点がきっちり合った写真を撮るまでに、6300回以上もかかった。3週間近くのあいだ、雨の日はいつもティプティニ研究所内でこの撮影をしていた。(撮影後、アリたちは自然界に戻した。かなり疲れていたかもしれないが。)


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