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特別インタビュー

「銃・病原菌・鉄」の今

JULY 2007


DVDで『銃・病原菌・鉄』の“今”を語る舞台として、なぜアフリカを選んだのですか?

 DVDの中で、私は三つの旅に出かけます。食料生産の起源を考察するニューギニアへの旅、ヨーロッパ人による南北アメリカ大陸の征服の歴史を振り返るインカ帝国への旅、そして現代へとつながるアフリカへの旅です。

 アフリカに注目した理由はいくつかあります。一つは、貧しさの謎です。アフリカは現在、平均的にみて、世界で最も貧しい大陸です。思えば、これは実に不思議なことではないでしょうか。アフリカで誕生した人類が、ほかの大陸にも住むようになったのは、何百万年も後のことです。もし何事も出だしが肝心ということであれば、先にスタートしたアフリカは最も裕福な大陸になっていてもおかしくないはずです。

 現代アフリカの貧困の背景には、この大陸が南北に長いために、農作物や家畜が伝播しにくいという地理的要因が存在します。このことも、アフリカに目を向ける大きな理由となりました。

アフリカへの旅では、数ある感染症の中から特にマラリアの問題を取り上げていますが、その理由は何でしょうか?

 アフリカの感染症というと、エイズやエボラ出血熱を思い浮かべる人もいるでしょう。なぜマラリアに注目したのかというと、まず、マラリアは世界中でエイズに次いで人間への影響が大きい感染症だからです。

 また、エイズは人間の死因としては比較的新しく登場したもので、それまではマラリアが人間の生命を脅かす最もおそろしい病気でした。そして、マラリアは、世界のどの大陸よりもアフリカを苦しめています。

もしマラリアがなかったら、アフリカの歴史はどのように変わっていたと想像されますか?

 もしこの病気がなかったら、ヨーロッパ人はもっとたやすく熱帯アフリカを征服し、そこに定住することができたでしょう。マラリア原虫はアフリカ大陸にもともと存在していた土着の病原体で、ヨーロッパ人の行く手を阻んだ主な要因の一つとなりました。

 もっとも、マラリアがもし存在しなかったとしたら、現在のアフリカはもっと人々が長生きできる、豊かな大陸として繁栄していた可能性はあります。

アフリカへの旅でザンビアの病院を訪れてみて、この国はマラリアを撲滅できると感じましたか?

 マラリアを一掃できた国としては、アジアのシンガポールやマレーシアが挙げられます。シンガポールでのマラリア撲滅を容易にしたのは、島国という地理的条件です。また、マレーシアがマラリア撲滅を達成できたのも、国土が比較的狭く、地理的に孤立しているからです。

 ザンビアは国を挙げてマラリアの根絶に取り組んでいますが、国土が広く、ほかの国々に囲まれているので、その達成ははるかに困難だと思います。しかし、ある程度の資金があれば、マラリアによるザンビア国民の苦しみを大幅に和らげることは十分にできるはずです。

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