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特集

ハワイの海を守る
不思議な生き物

JUNE 2007

文=ジェニファー・S・ホーランド 写真=ダーリン・A・マロウスキー

の海をお花畑のように彩る奇妙な姿の生き物たち。ハワイ諸島沖に生息し、生態系を下支えする「神秘的な存在」の知られざる実態を紹介する。

 園芸家は、庭にすむミミズを大事にする。見た目はともかく、土壌を掘り返して豊かにしてくれるからだ。ミミズの親戚にあたる「ぜん虫類」は、海の中にも暮らしている。泥や海水などから栄養分をこし取って生きる点ではミミズと同様で、生態系を支える重要な役割を果たす。だが、海に生きるぜん虫類の姿や体のしくみは驚くほど多様で、不思議な美しさを放っている。

 ぜん虫類は、世界中の海に生息している。食用魚が私たちの食卓をにぎわすのも、餌になるこうした生物がいればこそだ。海辺はもちろん、大洋の真っ只中の海面や深海にすむ仲間もいる。体の大きさも、ピンの頭ほどの小さなものから、体長60メートル近くに達するヒモムシ類のような世界最長級の生物まで千差万別。海水などをろ過して餌をこし取るのが“彼ら”の基本的な“食生活”だが、なかには獲物を捕らえたり共食いする輩までいる。進化を通して獲得した繁殖方法は18通り以上に及び、体を分割して仲間を増やすという珍しい方法もある。ハワイ諸島沖の浅瀬には、とりわけ多くの種類のぜん虫類が生息している。ここで紹介する写真は海や研究室で撮影したものだ。

 現在の海生ぜん虫類の祖先は、5億年以上前に誕生した多数の剛毛をもつ生物。地球上に登場した、きわめて初期の海生動物だ。ぜん虫類が何種いるのかは分かっておらず、2万5000種とも数百万種とも言われている。18世紀に生物分類法の基礎を築いた博物学者リンネは、しなやかで足のない無脊椎動物をぜん虫(Vermes)とひとくくりにした。しかし、その後の研究者たちは、ぜん虫を生物系統図のさまざまな区分に位置づけてきた。例えば、ゴカイなど海生ぜん虫類の多くは「環形動物」に分類されている。体節や剛毛をもち、岩の隙間に潜り込んだり、棲管と呼ばれるチューブ状の“隠れ家”から頭をのぞかせたりする生き物たちだ。人目に触れる機会が少なく、奇抜な姿のぜん虫類だが、海という環境に適応し、生態系を維持するのに欠かせない存在になっている。


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