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特集

極北の生命
氷という名の「恵み」

JUNE 2007

文・写真=ポール・ニックレン

極で幾多の生き物をはぐくんできた「氷」が姿を消しつつある。温暖化は、ホッキョクグマやアザラシ、クジラなど極北の生命を脅かしている。

 極北の5月の午後、私は海氷の割れ目からゆっくりと滑り落ちるようにして、水中へ入っていった。ゴム製のフードでくるまれた頭と顔が、しびれるような冷水にさらされ、吐き気をもよおす。

 ここはカナダの北極圏、ランカスター海峡のすぐ南の海。水温はマイナス1.6℃と、海水が凍らないぎりぎりの水準である。

 私は吐き気をこらえようと、酸素ボンベのマウスピースをぐっとかみしめた。やがて冷たさに慣れてきて、深みへ潜り始めたとき、ふと何かがおかしいことに気がついた。季節が変わったばかりのこの時期、いつもなら海はひたすら青く、単調で、生き物の気配はない。ところが頭上の氷を見上げると、なぜか緑と茶色の筋が見える。しかも動いているのだ。

 私は目を疑い、深度をチェックした。めまいを起こしているのなら、厚さ1メートルの氷の下を単独で潜るダイバーにとって命にかかわる一大事。だが、私はめまいを起こしていたわけではなかった。小さなエビに似た甲殻類が、大きな塊になって群れていたのだ。

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