/2007年5月号

トップ > マガジン > 2007年5月号 > 特集:ジェームズタウンに入植者が持ち込んだ品々


定期購読

翻訳講座

記事ランキング

ナショジオクイズ

これは何でしょう?

  • 宇宙探査機
  • 自動翻訳機
  • 爆弾

答えを見る

ナショジオとつながる



特集

入植者が新世界に
持ち込んだ品々

MAY 2007

文=カレン・E・ラング 写真=ロバート・クラーク

古学者がジェームズタウン史跡で発掘した100万点におよぶ遺物は、入植した人々の米国開拓のドラマを雄弁に物語る。

 現在の米国バージニア州に、大西洋を越えて英国から入植者がやって来たのは17世紀初頭のことだった。それ以前にも英国以外のヨーロッパ諸国が、北はカナダから南は米フロリダ州にいたるまで、北米大陸の大西洋岸へ入植しようと試みたが、ことごとく悲惨な結果に終わっていた。入植の成功する見込みが低いことは、入植者全員がわかっていたはずだ。それでも植民地を開拓するため入植者を募った英国ロンドンのバージニア会社には、チャンスに賭けようと大勢が集まった。

 入植希望者は、新天地での豊かな暮らしに思いをはせながら荷造りをしたに違いない。船には、鍬や斧、マスケット銃などのほか、薬草を集める壺や、ガラスづくりのためのるつぼ、黄金を精製する蒸留器など、金儲けのための道具が満載された。

 だが新天地に着いて早々、入植者たちの夢はもろくも消えうせた。事業は相次いで失敗し、生き延びるだけで精いっぱいで、多くの人が上陸してから数カ月以内に悲惨な最期を遂げた。1607年から1624年にかけて、北米東部のジェームズタウンに入植した人の8割近くが、病気や飢え、先住民との争いで死亡した。

 当時のジェームズタウンでの暮らしの様子は、読み書きができた少数の住人が残した記録からしか知ることができなかった。だが1994年以降に考古学者のウィリアム・ケルソが率いる調査隊が「ジェームズタウン史跡」を発掘し、この町の全体像が明らかになった。100万点近い遺物が発掘され、入植者がどんな暮らしを送り、最期を遂げたのか詳しくわかってきた。彼らが懸命に開拓したジェームズタウンは、英国人が北米で最初に定住した土地となり、米国発祥の地ともみなされている。

 「大昔に書かれた手紙を見つけたようなものです」と、史跡を管理するバージニア歴史的遺物保存協会の学芸員ブライ・ストローブは言う。英国から大西洋を越えて異国の地バージニアに持ち込まれ、所有者とともに葬られた品々から、入植者たちがどんな希望を抱いて米国へやってきたのかが見えてくる。


ナショナル ジオグラフィック バックナンバー