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植民地建設当時の
アメリカ

MAY 2007

文=チャールズ・C・マン 写真=ロバート・クラーク、ジョージ・スタインメッツ

在の米国バージニア州に、英国人が北アメリカで初めて定住に成功したジェームズタウン植民地が建設されて、今年はちょうど400年。その後、アメリカの風景は一変した。その原因を探る。

 今から400年前の1607年5月14日、104人の英国人入植者を乗せた3隻の船が、現在の米国バージニア州チェサピーク湾の入り口付近に到着した。チェサピーク湾に注ぐジェームズ川の中州に彼らが建設した町ジェームズタウンは、英国人が北アメリカ大陸で定住に成功した初の植民地となった。

 ジェームズタウンに入植した英国人の一人、ジョン・ロルフは、アメリカ先住民の首長の娘ポカホンタスと結婚したことで知られている。ジェームズタウンでタバコの栽培を始め、入植を成功に導いた立役者の一人でもある。

 しかも、もっと重大な影響を南北アメリカ大陸にもたらした可能性もある。ミミズを新大陸に持ちこんだのは、ロルフかもしれないのだ。

 1492年にコロンブスが到達する以前には、南北アメリカ大陸にミミズはいなかった。なかでも全長30センチにもなる巨大なツチミミズと、3センチほどのアカミミズをアメリカ大陸にもたらすきっかけをつくったのがジョン・ロルフだとしたら、彼は図らずも、アメリカの風景が激変する手助けをしたことになる。

 スペイン人が西インド諸島から初めてタバコを持ち帰って以来、ヨーロッパでは喫煙が流行していた。バージニア植民地周辺にいた先住民にも喫煙の習慣はあったが、別種のマルバタバコを吸っていた。バージニア産のタバコは質が悪く、「まずくて気の抜けたひどい味」だと、入植者のウィリアム・ストレイチーは記している。

 ロルフは1610年にジェームズタウンに到着すると、トリニダードとベネズエラからタバコの種を輸入した。6年後、妻のポカホンタスを連れて英国に帰国する際に、まとまった量のタバコを持ち帰った。ロルフの友人ラルフ・ハモーが「甘く強烈で快感をもたらす」と評したジェームズタウン産のタバコは、英国で飛ぶように売れた。

 1620年には、ジェームズタウンのタバコの年間輸出量は推定20トンになり、10年後には少なくともその6倍に達した。次々に船が到来しては、タバコの葉を詰めた樽をいっぱいに積みこんだ。船のバランスをとるために、水夫たちはバラスト(底荷)を川岸に捨てる。バラストはほとんど石ころや土だったが、おそらくこうした土の中に、英国のミミズが紛れていたのだろう。

 小さなミミズでも、大きな変化の引き金になることがある。北アメリカ大陸北東部のニューイングランド地方と中西部の北に広がる広葉樹林には、それまでミミズがいなかった。最後の氷河期に絶滅したのだろう。ミミズのいない森では、落ち葉は分解されずに地面に積もる。そこにミミズが持ちこまれると、ほんの数カ月で落ち葉を分解し、蓄えられていた栄養分が雨水で流されてしまう。北部の森で生育する低木は落ち葉から栄養を吸収しているため、落ち葉が分解されると若木も含めて低木がほとんど枯れてしまい、うっそうとした森は、木々のまばらな乾燥した森へと姿を変えた。

 ミミズは自ら移動して急速に生息域を広げる生き物ではないため、影響が現れるまでには長い時間がかかる。しかし長期的に見れば、生態系に劇的な影響を与えたようだ。

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