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特集

恒星の最期
大爆発の謎を解く

MARCH 2007

画像=Weiqun Zhang, Stanford University, and Stan Woosley, University of California at Santa Cruz. Supercomputing: Lawrence Berkeley National Laboratory (LBNL) and NASA Ames Research Center

文=ロン・コーウェン

星がその一生の最期に、千億の星を集めたよりもまばゆい光を放って爆発する「超新星爆発」。そのメカニズムが、最新の研究で明らかになってきた。

 化学薬品を調合し、瓶のふたを締め、その場から猛ダッシュで逃げる。「ドカン!」。1950年代後半に米国のテキサス州で育ったスタン・ウーズリーは、10代の頃からゴルフ場に入りこんでは、薬品をかたっぱしから混ぜ、爆発の実験にいそしんでいた。米カリフォルニア大学サンタクルス校の天文学者となった今も、彼の研究テーマは爆発だ。ただし、スケールははるかに大きい。宇宙が誕生してから最大級の爆発、「超新星爆発」を研究しているのだ。超新星爆発は、恒星がその一生の終わりに迎える壮絶な爆発である。宇宙のどこかで1秒間に1回程度、千億もの星々を集めたよりもまばゆい光を放つ。それは何カ月もかかって膨張し、やがて冷えていく。

 幸運なことに、こうした大爆発は地球のそばではほとんど起きていない。私たちがいる銀河系内で超新星爆発が起きたのは、最新でも1604年のことだ。とはいえ、超新星爆発が残したものは、私たちの身近にいくらでもある。酸素や炭素、岩石に含まれるケイ素、血液の中で大きな役割を果たす鉄……。水素とヘリウムより重い原子はほぼすべて、はるか遠い昔にどこかの恒星でつくられ、爆発とともに宇宙空間にばらまかれたものだ。

 何百万年もの間、平穏に輝いていた星が、なぜ突然爆発するのか。この数十年、世界の天文学者がこの謎に取り組んできた。そして最近、その研究に二つの大きな進展があった。一つは、宇宙のある場所から高エネルギーのガンマ線が爆発的に放射される現象「ガンマ線バースト」についてだ。ウーズリーが十数年前に提唱した、ガンマ線バーストの多くは超新星爆発の数分前に起きる前触れであるという仮説が、観測で確認されたのだ。

 ガンマ線バーストと超新星のつながりは、もう一つの謎である爆発の要因についてもヒントを与えてくれる。コンピューターのシミュレーションによれば、強烈な“音響”が起爆剤となっている可能性も出てきた。それは星が発する断末魔の叫びなのだろうか。

 天文学では、あわてて観測しなければならない現象はあまりない。ところが近頃、携帯電話など持ち歩き、連絡が入り次第、天文台に駆けつける天文学者が増えている。彼らが待つのは、天文衛星スウィフトからの連絡だ。

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