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特集

太陽系の宝石
土星の実像

DECEMBER 2006

文=ビル・ダウシット 画像=NASA, Jet Propulsion Laboratory, and Space Science Institute

査機カッシーニが、史上初めて土星の軌道を周回しながら、これまで知られていなかった土星の詳細やそのリング、衛星の謎に迫った。

   土星最大の衛星タイタンでは、1000年に一度だけ雨が降る。液体メタンの猛烈な雨だ。有毒な大気に遮られた太陽は、ずっと夕焼けのような色をしている。マイナス179℃にもなる極寒の環境は生命の存在を許さず、かすんだ空に巨大な土星が浮かぶ。

 それでもこの衛星は、驚くほど地球とよく似ている。「タイタンは永遠に子どものままなのです」と、米ハワイ大学天文学研究所のトバイアス・オーウェンは言う。「地球のような惑星に成長するための物質や元素がすべてそろっているのに、成長するチャンスが一度もなかったのです」

 タイタンは光化学スモッグと同じ成分の大気で覆われていて、まれにメタンの「雨期」が訪れると、川が生まれて広大な平原に深い溝を刻んで流れる。地球と同じように、地質活動や火山活動が起きている可能性もある。ただし極寒のタイタンでは溶岩ではなく、解けかけの氷とアンモニアが火口から噴き出す。そして何より興味深いのは、タイタンの風のなかに、太古の地球で生物の起源になったと考えられている有機分子が豊富に含まれていることだ。

 かつて惑星研究者は、タイタンの姿を想像することしかできなかったが、今では実際の光景を見ることができる。探査機カッシーニが2年半かけて土星の衛星とリングのすぐ近くを巡り、この巨大惑星を詳しく分析してきたからだ。さらにカッシーニから分離した着陸機ホイヘンスは、タイタンの表面に到達した。

 このタイタン着陸が一つのハイライトになる今回の土星探査は、太陽系の過去を探る旅とも言える。土星内部の金属水素や、リングを構成する粒子、氷や水蒸気を噴出する衛星エンケラドスなど、土星とその周囲の天体には、46億年前の太陽系誕生と生命の起源を解明するカギが隠されている。「太陽系の構造と進化を、最も壮大なスケールで教えてくれます」と、米航空宇宙局(NASA)エームズ研究センターの惑星科学者ジェフ・カジーは語る。

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