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取材ノート
ハリケーンの最新科学

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筆者の取材ノート
トマス・ヘイデン

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「取材現場から」は、筆者と写真家へのインタビューを編集したものです。
本誌の記事と一部が違うことがあります。

写真=Jeff MacMillan

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取材現場から 取材現場から PHOTO
ハリケーンの最新科学

筆者の取材ノート
トマス・ヘイデン
Best 最高の経験

 ハリケーンの圧倒的な破壊力をもってすれば、何もかも打ち壊してしまうことなど簡単だ。ハリケーン「カトリーナ」がニューオーリンズとメキシコ湾岸にもたらした打撃は、この事実の何よりの証となった。だが希望を感じさせる数々のエピソードが生まれたことも、忘れるべきではない。今回の取材では、悲劇的な災害に直面した人々が力強く立ち直っていく姿を何度も目にすることができた。
 私は数日間、夜ごとにニューオーリンズに隣接するジェファーソン・パリッシュの被災者グループの話を聞いた。大きなアパートに20人ほどが住んでいたが、ハリケーンに遭う前は、互いをほとんど知らなかったという。それぞれの理由から、避難せずに残ることを決めた人々だ。
 カトリーナが襲来すると、住民は一人、また一人と、アパートの敷地内にある、ふだんはほとんど使われることのなかったピクニック用広場に集まった。そして全員で、生き残りのための“作戦”を考えた。テレビのドキュメンタリー番組さながらに、ひとつのグループとして結束し、そのなかで資材を集めるチーム、滑車を使ってプールからトイレに水を引く装置を作るといった、生活手段を確保するチームなどに分かれ、仕事を分担した。略奪者に備えて警備にあたるチームも作った。3週間後に電力が復旧した頃には、互いが友人として固い絆で結ばれ、連帯の力があれば災害にも決して負けないのだと確信していたという。住民の一人は、あとで私にこっそりと言った。「こんなことを言ったらおかしいと思われるだろうけれど、正直なところ、共同生活が終わってしまって、少々がっかりしましたよ」


Worst 最悪の体験

 カトリーナはニューオーリンズに猛烈な打撃を加えた。だがミシシッピやアラバマの沿岸地帯が受けた被害の方が、ある意味で、さらにひどかったと言えるかもしれない。こうした地域には防波島がいくつかあるだけで、カトリーナが引き起こした恐ろしい大波の前には、ほとんどなすすべもなかった。高さ6メートルにも達する大波が、あちこちで発生したのだ。
 米国地質調査部の科学者、ドーンとデニスのラボア夫妻が、破壊されたミシシッピ沿岸に連れて行ってくれた。そこは数年前、彼ら自身が住んでいた場所でもあった。雨の降る冷たい12月の日で、カトリーナの襲来から4カ月ほどたっていたが、かつては緑があふれていた沿岸地域が、荒涼とした、不毛の地と化していた。数千を数えたはずの家々は押し流されるか、瓦礫の山となっていた。木々は葉をむしりとられ、コケ類など生命の兆しは何もない。海岸全体が打ち捨てられた感じだった。
 ラボア夫妻は地質学や物理学的な見地からこの災害を説明しながら、時おり、住民たちがこうむった被害の跡を指し示した。かつて友人の家が立っていた場所、子どもたちが通っていた学校の残骸…。そうした個人的な話を聞くことで、ハリケーンのすさまじい力が生々しく実感され、一刻も早く、この恐るべき嵐を解明し、予測するシステムを作り上げることが必要だという思いにかられた。


Quirkiest 最も奇妙な思い出

 ジンボズ・プレイスは、洗練された南フロリダにはちょっと似つかわしくない店だ。それでも、高層の高級ホテルやリゾートより、マイアミにずっとなじんでいる。このむさくるしい小さなバーは、人通りの多い道からはずれ、バージニア・キーの水処理施設とビスケーン湾の間に挟まれた場所にある。(風向きによっては行かない方がいいと、地元の人は言う。)地元の人々にとっては、愛着のある、隠れ家的な店で、観光客もマイアミの住人も、大いに好奇心をそそられる場所だ。訪れた人々は氷が詰まった大きな容器から冷えたビールを取り出し、火が燃えさかる樽のまわりでたむろしたり、ボッチ・ボールという球技に興じたり、カラオケでカントリー・ミュージックに酔いしれながら夜を過ごす。
 マイアミ大学海洋大気科学部でハリケーンを調査している研究者たちは、人々がハリケーンに立ち向かうための方法を見つけたいという気持ちで、研究に取り組んでいるのだと力説した。彼らの中には、ジンボズ・プレイスの常連だという人も何人かいた。彼らが、ハリケーンが人間に与える影響に主眼を置いて研究を進めているのには、この店の存在が少なからず関係しているような気がしてならない。









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