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1700年の時を経てよみがえった『ユダの福音書』。イエスとユダの秘密の物語は、研究者たちの尽力によってコプト語の写本から現代の言葉へと翻訳された。解読が進む『ユダの福音書』から、その記述の一部をお届けする。(日本版編集部)

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 ――『ユダの福音書』は、イエスがユダに“裏切られる”までのわずかな期間に起きたとされる出来事を伝えている。この世を超えた神秘を弟子たちと語るイエス。その描写は、こう始まっている。
 イエスは地上に現れたとき、人々の救いのため、奇跡と大いなる不思議な業を行った。そしてある者は正しい道を[歩み]、ある者は罪の道を歩んでいたので、12人の弟子たちが呼び寄せられた。
 イエスは弟子たちと、この世を超えた神秘について、また終わりに起こることについて話し始めた。……

 ――ユダヤの地で、弟子たちとイエスが議論する場面。パンに感謝の祈りを唱える弟子たちのところへ来たイエスは、なぜか笑いはじめる。
 弟子たち「先生、あなたはなぜ[私たちの]感謝の祈りを笑っておられるのですか」……
 イエス「私はあなたがたを笑っているのではない。〈あなたがたは〉自分たちの意志でそうしているのではなく、そうすることによって、あなたがたの神が賛美される[だろう]からそうしているのだ」……
 イエス「あなたがたの内にいる、[勇気のある]完全なる人を取り出して、私の眼前に立たせなさい」
 弟子たち「私たちにはそれだけの勇気があります」
 しかし彼らの霊(注1)は、イスカリオテのユダを除いて、[イエスの]前に立つだけの勇気がなかった。ユダはイエスの前に立つことができたが、イエスの目を見ることができず、顔をそむけた。
 ユダ「あなたが誰か、どこから来たのか私は知っています。あなたは不死の王国バルベーロー(注2)からやって来ました。私にはあなたを遣わした方の名前を口に出すだけの価値がありません」……
 イエス「ほかの者から離れなさい。そうすれば、王国の秘密を授けよう」……

 ――福音書の後半は、主にユダの問いかけにイエスが答える対話の形式で、ユダが見た幻とユダの運命、天上の神の王国について二人が語り合う。
 ユダ「先生、……私は大いなる幻を見たのです」
 イエス(笑って)「……話してみなさい。私はお前の話を信じるだろう」
 ユダ「私は幻の中で、あの12人の弟子たちが私に石を投げて、[私のことをひどく]虐げるのを見ました」……
 イエス「お前は13番目となり、のちの世代の非難の的となり――そして彼らの上に君臨するだろう。最後の日々には、聖なる[世代](注3)のもとに引き上げられるお前を彼らは罵ることだろう」……
 イエス「……いまだかつて何びとも目にした[ことの]ない[秘密]をお前に教えよう。それは果てしなく広がる御国だ。[そこ]は天使たちでさえ見たことがないほど広大で、[一つの]目には見えない[霊](注4)がある。
  そこは天使も見たことがなく、
  いかなる心の思念によっても理解されず、
  いかなる名前でも呼ばれたことがない。……

 ――イエスとユダが交わす最後の対話。この場面でイエスは、ユダの裏切りについて語る。
 ユダ「ところで、あなたの名において洗礼を受けたものたちはどうするつもりでしょうか」
 イエス「本当に、私は[お前に]言う。……[約9行欠落]……」
 イエス「だがお前は真の私を包むこの肉体を犠牲とし(注5)、すべての弟子たちを超える存在になるだろう。
  すでにお前の角は立ちあがり
  お前の憤りは燃えあがり
  お前の星は明るく輝き
  お前の心は[強くなった]」
 イエス「……その時、アダムの大いなる世代の像は高みに上げられる。なぜなら天、地、天使たちが存在するより前に、永遠の王国からやって来たあの世代が存在するからである。さあ、これでお前にはすべてを語ったことになる。目を上げ、雲とその中の光、それを囲む星々を見なさい。皆を導くあの星が、お前の星だ」
 ユダは目を上げると明るく輝く雲を見つめ、その中へと入っていった。地上に立っていた人々に、雲の中から声が聞こえた。声は言った。
 ……[約5行欠落]。

 ――結びの部分では、ユダがイエスを裏切る場面が簡潔に描かれる。
 […]大祭司たちは不平を言った。[彼]が部屋に入って祈りをささげていたからである。しかし、何人かの律法学者たちはそこにいて、祈りの間に彼を捕らえようと注意深く見張っていた。彼が皆から預言者とみなされ、彼らは民衆を恐れていたからである。
 彼らはユダに近づいて、言った。「お前はここで何をしているのか。お前はイエスの弟子ではないか」。ユダは彼らの望むままに答えた。そしていくらかの金を受け取り、彼を彼らに引き渡した。

ユダの福音書(注6)
「――」で始まる太字部分は編集部による説明、「……」は中略を示す。対話の話し手は「イエス」などと略記した。[ ]は写本の不明部分を推定した読み、[…]と[○行欠落]は判読不能な部分。〈 〉は原文の誤りとみて記述を修正した部分。
(注1)霊:ここでは「霊」は「命あるもの」を意味していると思われる。
(注2)バルベーロー:天上の、至高の神の王国で、万物の母なる神のような存在。
(注3)聖なる[世代]:「あの世代」と書かれた個所もある。アダムの息子である偉大なるセツの世代、天上から来た不滅の世代を指している。
(注4)[一つの]目には見えない[霊]:天上の至高の神を指している。
(注5)真の私を包むこの肉体を…:直訳は「私を覆う者」。イエスの真実の霊的自己を衣として包んでいる肉体を犠牲にささげるように、イエスはユダに命じている。
(注6)ユダの福音書:当時のしきたりで、表題は写本の末尾に記されている。他の多くの福音書と異なり、「ユダによる~」ではなく、「ユダの~」という語が使われている。
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