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特集


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文=カレン・E・ラング 写真=ランディ・オルソン

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2005年9月、ケニアの大統領は同国南部にあるアンボセリ国立公園の土地を、地元のマサイの人々に返還することを決めた。アフリカで前例のないこの決定は大きな波紋を呼び、誰が国立公園を所有すべきかという問題を投げかけている。

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もっと知りたいなら…

今回の特集に関してもっと知りたい方に、参考となる情報を提供します。





 アンボセリ国立公園のそばで育ったマサイの一員、ジョゼフ・サンカレとデビッド・シトニクは、地元のゾウ調査プロジェクトにかかわる研究者。二人とも野生動物の保護がどれほど大きな代償を伴うか、身にしみてわかっている。
 観光客をひきつける動物たちは、地元民の暮らしに乱暴に踏み込んでくる。学校へ向かう子供がスイギュウに突き殺され、家畜の牛がゾウやライオンに襲われる。農作物はシマウマやガゼルの群れに荒らされる……。
 それだけではない。ケニア政府がマサイの土地を接収し、面積392平方キロのアンボセリ国立公園を創設したのは1974年。以来、乾期には泉や沼の利用が制限され、マサイの人々は家畜を飼いにくくなった。国立公園の観光収入から割り当てられる分配金が不当に少ないと考える点でも、二人の立場は一致する。年間340万ドルの観光収入のうち、マサイの取り分は2%にも満たなかった。
 だが昨年9月、ケニアのムワイ・キバキ大統領がアンボセリ国立公園を国立保護区に格下げし、土地を近隣のマサイに返還する決定を下すと、サンカレとシトニクの意見は分かれた。サンカレは大半のマサイの人々と同じく、この決定を歓迎したが、シトニクは不安を抱いている。
 キバキ大統領はアンボセリの土地を、ケニア南部に住むマサイの代表機関であるオルケジュアド郡評議会に引き渡した。サンカレが国立公園の格下げを支持するのは、マサイが観光収入の正当な取り分を得るにはこれしかないと考えるからだ。「創設以来、国立公園は私たちに何の利益ももたらさなかったが、ようやく地域社会の助けになります」とサンカレは言う。
 一方でシトニクは、郡評議会が生態系をうまく管理できないのではと危惧する。管理に失敗して野生動物が減れば、観光客も来なくなる。「もし今日、お前に高級ホテルをやると言われたら、もちろん喜びます。収入が自分たちのものになると思うからです。でも所有者になれば、ホテルを運営しなくてはなりません」
 たとえ、今後も多くの観光客がやって来るとしても、郡評議会が得た観光収入がどれほど公園周辺のマサイの人々に分配されるのか、シトニクは疑問に思っている。
 大統領の決定の直後から、他の郡評議会も国立公園の土地を戻せと政府に要求し始めた。アンボセリで人と野生動物の関係を調べるモーゼス・オケロは、政府は観光収入の分配比率を引き上げるなどして地元民の恩恵を考慮すべきだと主張する。「そもそもの問題は、国立公園がマサイにとって損なものだったことです」

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