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取材ノート
米国ソルトン湖の危機

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筆者の取材ノート
ジョエル・K・ボーン,Jr.

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写真家の取材ノート
ガード・ルードヴィグ

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「取材現場から」は、筆者と写真家へのインタビューを編集したものです。
本誌の記事と一部が違うことがあります。

写真=Rebecca Hale (上) and Peter Wintersteller

取材現場から 取材現場から PHOTO
米国ソルトン湖の危機

筆者の取材ノート
ジョエル・K・ボーン,Jr.
Best 最高の経験

 ある朝早く、ソニー・ボノ・ソルトン湖国立自然保護区の事務室の外で、鳥の病気の専門家トム・アンダーソンたちと立ち話をしていた。プロペラ船で保護区の鳥たちを見に出かけようとしていたのだが、突然、たくさんのハクガンの巨大な群れが頭上を飛んでいった。翼のたてるかすかな羽ばたきの音も、これだけ集まるとすさまじい騒音となり、お互いの声も聞こえなくなった。4人とも言葉もないまま立ちすくみ、翼の行列が通り過ぎてゆくのを静かに見守った。この翼の音は、危機に瀕するこの特殊な生息地の重要性を、どんな言葉より深くわたしの胸に刻み込んだ。


Worst 最悪の体験

 湖の北端に近いソルトン湖州営保養区域で泳ぎ、その数時間後に先住民のトレス=マルチネス・インディアンとともに仕事をしている生物学者に取材をした。この先住民は湖北端の土地4000へクタールを所有している。
 私が何の気なしにその朝泳ぎに行ったことを話すと、それまで穏やかに話をしてくれていた彼女が、急に険しい表情になった。
 「なにをしたんですって?」と彼女は聞いた。
 「泳いだんです」わたしは繰り返した。
 「泳いだって、岸近くをちょっと歩いただけでしょう?」
 「いいえ。水に飛び込んで50メートルほど泳ぎました」
 「頭まで水につからなかったでしょうね?」彼女はトサカ頭にボディピアスをした、異様ないでたちの若者でも見るような目つきで私を見つめた。
 「いやその…完全につかってはいません」わたしは落ち着きなくそわそわしはじめた。
 「水から出た後、シャワーで石けんを使って体を洗った?」
 「ええ、洗いましたよ。なぜです?」
 彼女は肩をすくめた。「たぶん大丈夫だと思うけど。ホワイトウォーター川の河口で、糞便性大腸菌の濃度を監視しているの。あなたが泳いだ場所の近くよ。最近とても濃度が高くなっていたから」
 その日は一日中、繰り返し手を洗った。なんだか気持ちが悪かったが、特に体に変調をきたすことはなかった。


Quirkiest 最も奇妙な思い出

 ある日、写真家のガード・ルードヴィグと一緒にスラブ・シティを訪ねた。ここは無断居住者や気候の暖かい土地を求めてRV車で移動する人々など、自由を愛する人々が集まるところで、ナイランド近くのソルトン湖を見下ろす場所にある。
 廃墟となった軍事基地の周りを車で行くと、トレーラーやトラック、古びたバスなどが並んだ一帯の外に、「インフォメーション」と書かれた手書きの看板が見えた。車を降り、「こんにちはー、誰かいますか?」と叫んでみたが、薄汚れた犬が何匹か、バスの窓から歯をむき出してうなり声を上げただけだった。犬たちは、雑誌記者に噛みつきたくてうずうずしているように見えた。そろそろと車の方へ後退りしていったその時、スラブ在住20年のジム・ベネットがゆっくりとキャンピングカーのドアを開けた。たくましい二の腕にネズミの入れ墨をした元配管工で、スモッグと犯罪にまみれたロサンゼルス郊外を離れ、静かな砂漠で家族を育てようとスラブにやってきたという。
 「誰もがここの暮らしに興味をもつよ」と、ベネットは言った。「酒を飲んで騒ぐのが好きな奴が多いが、強盗事件があったのはここ10年で2回だけだ」。話を聞き終わると、ベネットに手間をとらせたお礼を言った。彼は肩をすくめた。「オレの彼女はいつもはお客さんに愛想が良いんだが」と彼はトレーラーの方を振り返って言った。「時々、機嫌が悪くなるんだ」









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