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取材ノート
赤熱の地 ハワイ火山国立公園

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Photo

筆者の取材ノート
ジェニファー・S・ホーランド

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「取材現場から」は、筆者と写真家へのインタビューを編集したものです。
本誌の記事と一部が違うことがあります。

写真=Brian Strauss

取材現場から 取材現場から PHOTO
赤熱の地
ハワイ火山国立公園


筆者の取材ノート
ジェニファー・S・ホーランド
Best 最高の経験

 ある日、写真家のフランス・ランティングと長い時間をかけて休火山マウナケア山の山頂まで車で登り、そこから今も火山活動が続く公園内のマウナロア山を眺めた。うっすらと雪が降り積もったマウナケア山の火口丘の荒涼とした眺めは、息を呑むほど美しかった。風が吹くと白い淡雪の表面にさざ波が立ち、山の斜面を行ったり来たりする。まるで別世界のような光景だった。やがて太陽が西に傾くと、山頂全体がピンク色やオレンジ色に染まっていった。眼下にたなびく一群の雲が赤く燃えている。標高約3900メートルの山頂付近は空気が薄く、寒さは感覚が麻痺するほどだったが、しばらくその場に留まっていたい衝動にかられた。しかし感動はこれで終わったわけではなかった。山を下りる途中のケック観測所でのぞいた高性能の望遠鏡からは、土星のリングの一つひとつを観察することができた。本当に最高の一日だった。


Worst 最悪の体験

 キラウエア火山の今も噴火中の火口から少し下った場所のキャンプ、それ自体はすばらしい経験だったが、万事がうまくいったわけではない。友人が貸してくれた古い一人用テントは、濡れたまま片付けてあったせいか、白カビが悪臭を放っていた。いくらきれいにしても臭いは消えなかった。それでもどうしても耐えられないというものではなかったし(左右両側のファスナーを引いて空気を通すこともできた)、屋外で寝るよりはましだった。しかしさらにひどい臭いが私を待ち受けていた。
 その夜は風向きが悪く、火口から噴き上がった硫黄ガスがキャンプの方向に流れてきて、どうにも耐えられなかった。体に有害なのはもちろんのこと、目がひりひり痛み、喉を襲うなんとも言えない酸っぱい感じが辛かった。ファスナーをしっかり閉めたカビだらけの棺桶のようなテントの中で、ガスマスクをつけ、それがずれないようにじっと横になっていなければならなかった。いつまでも寝つけず、さらに激しい雨まで降ってきて、大量のキャンディーをテントの屋根にぶちまけたようなものすごい音をたてた。いうまでもなく、その晩は眠れなかった。


Quirkiest 最も奇妙な思い出

 ある日、キラウエア火山の噴火によって消滅した町、カラパナを訪ねてみようと思い立った。溶岩の流れた跡が残る中に、町らしきものが残っているのではと思っていたが、実際は、道路がそこで途切れているだけで、その向こうには冷えて黒く固まった溶岩原がはるか数キロ先まで広がっていた。
 溶岩原と平行に走る道路と町へ向かう小道が分かれる場所には、簡単な屋根のついた掲示板が立てあり、火山の噴火の様子を伝える写真や記事が掲示してあった。生命の痕跡をみつけようと、両側に家具、車の部品などが散乱する小道を上って行くと、今もカラパナに住む数少ない住人のひとり、ロバート老人に出会った。家が無事に残った老人は、他の人々が町を離れた今もそこで暮らしていた。ごつごつした茶褐色の大きな手をして、穏やかな口調で話すこの老人は、私を家に招き入れると、町が溶岩にのみ込まれた日の話などを聞かせてくれた。夢の中に登場するような、遠く離れた世界に迷い込んだような気分だった。









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