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取材ノート
温暖化 過去からのシグナル

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筆者の取材ノート
バージニア・モレル

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「取材現場から」は、筆者と写真家へのインタビューを編集したものです。
本誌の記事と一部が違うことがあります。

写真=Saadia Iqbal

取材現場から 取材現場から PHOTO
温暖化 過去からのシグナル

筆者の取材ノート
バージニア・モレル
Best 最高の経験

 過去の気候の研究は、比較的新しい科学分野だ。昔の天気を調べるために、科学者たちが木の年輪や氷のコア、海底や湖底の堆積物のコアなど様々なものを利用しているのがとても興味深かった。過去の記録をとどめる、いわば気候の「指標」の中で、私のいちばんのお気に入りが、オレゴンの洞窟から採取された石筍(せきじゅん)だ。石筍の研究に取り組む科学者、ピーター・クラークがその石筍を見せてくれた。クラークらは、石筍を縦半分に切断して箱の中に固定し、先端から根元までのあちこちに針の先ほどの小さな穴を開けてコアを抜き取っていた。こうしたコアを基に、彼らは過去1万4000年間のオレゴン西部の気候を再現してきた。科学ジャーナリストの仕事のだいご味は、こうした驚くべき研究に出会えることだ。石筍で世界の天気が分かるなんて、いったいどこの誰が考えついたのだろうか。


Worst 最悪の体験

 私が出会った科学者の多くが、自分たちの研究に対する現在の米国政府の無関心ぶりに失望していると語っていた。その中には、NASA/ゴダード宇宙科学研究所の気候影響研究グループ(ニューヨーク市)の研究者たちのように、政府から資金援助を受けている科学者もいた。この研究グループは、地球温暖化がニューヨーク市とその周辺部に及ぼす影響を研究するよう命じられてきたという。彼らは将来起こりうる災害をいくつか明らかにした。中でも警戒すべきは、暴雨風や洪水による深刻な被害の可能性で、特にグランド・ゼロ周辺が危険だった。研究グループは政府当局に警戒を呼びかけ、将来発生する可能性のある高潮を食い止める護岸堤防建設の必要性を市に訴えた。だが、誰も興味を示さなかったという。落胆と失望感だけが残った。いずれニューヨークが大あらしに襲われても、研究者たちは「だから言ったでしょう」と言うほかなさそうだ。研究者や被害に巻き込まれる人々を思うと心が痛んだ。


Quirkiest 最も奇妙な思い出

 気候変動は世間をにぎわす論争として報じられることが多い。現実は果たしてそれほど深刻なのかと疑われる人々は、ニューヨーク州パリセーズにあるコロンビア大学のラモント・ドハティ研究所を訪ねてみるといい。私はそこで、木の年輪やサンゴ、海底の堆積物から発見された微化石などに見られる気候変動の証拠を見せてもらった。
 中でもいちばん説得力があったのは、私の手のひらよりも長いカキだった。去年、ハドソン川の岸に打ち上げられていたのを、誰かが研究所に持ち込んだのだという。カキは気候変動の影響が早くも及んだ例として、冷凍庫に保管された。ハドソン川の塩分濃度が上昇したために、塩水で生きるカキの生息域は、今やかなり上流にまで及んでいる。なぜだろうか? 氷河が解けて、世界各地の海面が上昇しているからだ。ハドソン川の塩気が増したというのは、カキにとってはいい話かもしれないが、真水を川に頼っている人間にとっては、それほどいい話ではないだろう。









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