今年8月はじめのわずか2日の観測期間に、天王星の北半球では8つの嵐が確認できた。そのうち1つは後に、観測史上最も明るいものであったと確認された。この惑星からの反射光全体の30%に相当する明るさだった。
去る10月24日にハッブル宇宙望遠鏡が捉えたデータでも、複数の巨大な嵐が、さまざまな高度で確認された。これらの嵐は約9000キロ以上もの範囲に広がっていたが、これは地球の直径の約4分の3に相当する。
これらの嵐はすべて、この惑星の大気のうち、メタンを含んだ上層部で発生しているようだ。この高度での大気圧は地球上の約半分だ。
ところが、ここ最近の天王星での嵐の頻発は、天文学者にとってまったく予期しないものだったという。
◆時期外れの嵐
専門家の間では、天王星の大気活動のピークは、この惑星が春分を迎え、赤道方向に太陽光が当たるようになる2007年のことと予想されていた。天王星が太陽の周りを回る公転周期は約84年なので、約42年ごとに春分または秋分を迎えることになる。
天文学者らは10年以上にわたって天王星の気象観測を続けており、北極の近くで渦巻状に発生する嵐をマッピングしてきた。これらの嵐を発生させるような熱源は惑星の内部には存在しないため、こうした雲の動きはすべて太陽光のみに起因するものと考えられていた。
それゆえ、北半球が太陽光の当たらない側に入ったここ数年は、気温が上がらずに嵐の発生も減るものと考えられていた。ところが、実際はそうではなかったのだ。
アマチュアの天文愛好家らも、この時期外れの嵐の頻発を記録しようと行動を始め、庭の望遠鏡を天王星へと向けている。専門家に比べてはるかに小形の観測機器を使ったアマチュアの連携によって、ケック天文台での観測では見落とされていた明るい点が、新たに1つ確認された。この嵐は、それまで観測されていたものに比べて、大気のより深いところで生じているものと考えられる。
「天王星の大気の内部では、間違いなく活発な活動が起こっているのに、私たちにはその理由が分かっていない」と、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームを率いる天文学者のイムケ・デ・ペイター(Imke de Pater)氏は会見で語った。アリゾナ州ツーソンで開催中のアメリカ天文学会惑星科学部門の会合でのひとこまだ。
「予測では減少するはずだったが、そうはならなかった。理論研究者らがこの謎を引き受けて、正確に何が起こっているのかの説明に寄与してくれるものと期待している」。
◆自分で観測するには
今月の晴れた晩なら、アマチュアの天文愛好家でも、この青緑色の巨大な惑星を自分の目で確認できるだろう。
天王星は地球の約4倍の大きさだが、約30億キロも離れたところにある。最大等級は5.7等なので、余計な光のない、空気の澄んだ地点でなければ、肉眼での観測は難しい。
とはいえ、双眼鏡や小型の望遠鏡を使えば観測は容易だ。天王星を見つけるには、ここ数日ならば日没後の東の空の低い位置にある、うお座の星たちが目印になる。
うお座にはあまり明るい星がないが、かすかな光を放つうお座デルタ星をまず見つけよう。そのわずか3度右下でかすかな青緑色に見えるのが天王星だ。この2つの星の見かけ上の距離は満月6つ分なので、一般的な双眼鏡であれば両方の星を視野に収められる。
Photograph by Imke de Pater (UC Berkeley) and Keck Observatory images