イヌはしっぽで何を語る?

2014.11.10
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しっぽのないボストンテリア(写真)などの犬種は、体の別の部位でコミュニケーションを図る。カリフォルニア州で撮影。

Photograph by Roy Toft / National Geographic Creative
 大きく揺れるイヌのしっぽは喜びのサインだ。 人間の最良の友であるイヌは主にしっぽで気持ちを表すが、それを持たない犬種はどのようにコミュニケーションを図っているのだろうか?

 今回は、犬種や事故、見栄えを良くするための断尾によってしっぽを持たないイヌが他のイヌや人間と問題なくコミュニケーションをとれるのか、イヌの専門家モニク・ユーデル(Monique Udell)氏に話を聞いた。

 フロリダ州ゲインズビルにあるフロリダ大学のイヌ認知・行動研究所(Canine Cognition and Behavior Lab)を創設したユーデル氏は、「(しっぽの有無が)彼らのコミュニケーションに影響を及ぼすことは間違いない」と語る。

 例えば、しっぽを切られた犬やしっぽが短く丸まったパグなどの犬種は、長いしっぽを持つイヌに比べて表現の幅が狭まってしまうという。

 しかし幸いなことに、体の他の部位を使って感情を表現することも可能だ。

◆しっぽを解読する

 イヌは服従を示す際にしっぽを体の下に巻き込むが、「生殖器部を隠す目的もあるため、コミュニケーションだけでなく実用的な面もある」とユーデル氏は言う。

 相手のイヌをまだ信頼できていないとき、イヌはしっぽで生殖器部を覆う。彼らは別のイヌの情報を肛門部にある臭腺から嗅ぎとるため、その部位を露出させているかどうかが信頼の物差しになるのだそうだ。

「(このような状況下で)しっぽをたくし込む動作は、人間が腕組みをして距離をとるようなもの」とユーデル氏。

 しっぽ振りも忘れてはならない。ユーデル氏は「振り方にも種類がある」と言い、必ずしも好意を示すものではないと説明する。

 しっぽの力が抜けていて、熱狂的に円を描くように振られている場合は友好的ではしゃいでいることを意味する。一方、ゆっくりと控えめに振られ、体が緊張している場合は人間や他のイヌに対して「近寄るな」とサインを送っているのだという。

◆背中の毛

 幸い、しっぽに問題のあるイヌでも首からしっぽまで続く硬い毛で気持ちを表すことができる。

 立ち上がった背中の毛は攻撃性を意味すると思われているが、実際は攻撃性だけでなく恐怖や興奮を含むさまざまな気持ちの高ぶりが読みとれるとユーデル氏は話す。

 だが、外見を重視した何世代にもわたる選択交配の結果、背中の毛をうまく動かせなくなった犬種も存在する。

 プードルやアフガンハウンドは美しい毛を持つように交配された犬種で、背中の毛を立ち上げることはできるが、毛そのものが重たいために伝わりづらいことがある。家畜犬や改良された犬種の「メッセージが行動と合致しない」ことは珍しくなく、イヌを扱う訓練を受けた人間でも混乱することがあるという。

 イヌは顔の表情でもメッセージをやり取りしていて、例えばむき出しの歯は攻撃性を意味する。また、耳を後ろに倒すしぐさも怒りを表す。

◆犬種を知る

 イヌは極めて多様なため、自分が飼っている犬種のコミュニケーション方法を理解すれば大量の情報が得られる。

 イヌは「飼い主のことを一日中観察しているからこそ、私たち個人に対して敏感に反応することができる」とユーデル氏は語る。「私たちも同じようにイヌを観察すれば、興味深いことがたくさん学べるはずだ」。

Photograph by Roy Toft / National Geographic Creative

文=Liz Langley

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