グランドキャニオンにオオカミ復帰か

2014.11.05
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アリゾナ州のカイバプラトーで目撃情報がいくつか寄せられている動物は、まだ正体が分かっていない。

Photograph Courtesy Arizona Game and Fish Department
 絶滅危惧種に指定されているハイイロオオカミは、1940年以来グランドキャニオンでは確認されていない。そのグランドキャニオン、ノースリム付近で最近“オオカミのような動物”が複数回目撃されており、その正体をつきとめるために調査が行われている。 一部の野生生物専門家は、それが1940年代を最後にグランドキャニオンから姿を消していたハイイロオオカミではないかと期待する。

 かつて全米各地に分布していたハイイロオオカミは、捕食動物のため人間から狩りの対象とされ、絶滅寸前の状態にまで追い込まれていた。

 米国魚類野生生物局(FWS)によれば、グランドキャニオン国立公園北部に位置するアリゾナ州カイバプラトーで、ここ数週間の間に数人の目撃者が何かの首輪をつけているイヌ科の動物をカメラで撮影した。

 FWS南西部支局の広報スペシャリスト、ジェフ・ハンフリー(Jeff Humphrey)氏は、ハイイロオオカミでなければ、その亜種でさらに希少なメキシコハイイロオオカミ、あるいは犬とオオカミの交配種だろうと見ている。

 いずれの動物にも首輪をつけられている個体がいるが、同局の報道発表によると、問題の動物の首輪は、1995年にロッキー山脈北部で再導入されたハイイロオオカミのものに似ているという。

 写真を見ると、体の大きさからメキシコオオカミでもなさそうだ。メキシコオオカミの方がハイイロオオカミよりも体が小さい。

 ハンフリー氏がナショナル ジオグラフィックに語ったところによると、正体を特定するには、その糞を採集してDNAを分析する必要があるという。

 現在、FWSがその分析を行っており、結果が分かるまではこの動物をロッキー山脈北部からやってきたハイイロオオカミとして対応するよう一般観光客へ呼びかけている。ハイイロオオカミは絶滅危惧種に指定され、連邦政府の保護下にある。

 過去数十年間その個体群の生息圏は中西部の北方に限られていたが、近年になって数が回復し、今では西部で1700頭が確認されている。そのためFWSは2013年、ハイイロオオカミを絶滅危惧種のリストから外すことを提案した。

◆大いなる放浪者

 ハイイロオオカミは長距離を移動することでよく知られており、元々の住処であるワイオミング州あるいは別のロッキー山脈のまたがる州から、ユタ州を通ってアリゾナまで流れてくる可能性も十分に考えられる。

 ナショナル ジオグラフィック青少年探検家のジェイ・シンプソン(Jay Simpson)氏によると、若いオオカミは2歳か2歳半になると自分の住処を離れ、新しい縄張りを求めて旅をし、時にはかなり長い距離を放浪するという。

 そして、FWSがグランドキャニオンに現れた動物にこれだけ関心を示しているということは、それがハイイロオオカミである可能性は高いと見ている。

 もしそれが本当にハイイロオオカミで、GPSの首輪をつけているとすれば、バッテリーはすでに切れているはずである。FWSのハンフリー氏によると、1995年の追跡調査は成果を上げることができなかった。

 シンプソン氏は、動物の行動を研究するには首輪の装着は極めて重要であると話す。例えば、もしこのオオカミの首輪がまだ機能しているとしたら、今までどこへ行っていたのか、ロッキー山脈北部の険しい地形や脅威をどのように乗り越えてきたのかなど、「貴重なデータ」を提供してくれるかもしれない。

Photograph Courtesy Arizona Game and Fish Department

文=Traci Watson

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