ライオンがアメリカの絶滅危惧種に

2014.10.28
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ボツワナのオカバンゴ・デルタで撮影した雄ライオン。アフリカのライオンがアメリカの絶滅危惧種に指定されるかもしれない。

Photograph by Beverly Joubert / National Geographic Creative
 アメリカ魚類野生生物局(FWS)は27日、アフリカのライオンをアメリカの法律によって保護する計画を発表した。 アメリカの絶滅危惧種法によって何千キロも離れたアフリカに暮らすライオンを絶滅危惧種に指定しようという計画だ。この新ルールは動物園には適用されない。もし承認されれば、アメリカ国内で飼育されているライオンを許可なく殺害、狩猟すること、アメリカ国民が州境、国境を越えてライオンやその一部を売ることが違法となる。州内でライオンやその一部を売った場合は各州の法律が適用される。

 FWSによれば、たとえライオンが絶滅危惧種に指定されても、“科学的根拠に基づく”方法でライオンを管理している国の許可を得た場合、アメリカの狩猟者がアフリカで殺したライオンを戦利品として持ち帰ることは認められるという。

 アメリカの狩猟者によって命を奪われるライオンやゾウ、サイはアフリカ大陸に集中しているが、適切な規定の下で行われるスポーツハンティングが大きな脅威になるとは考えられていないとFWSは説明する。

 ライオンの減少の原因はむしろ生息地の消失や餌不足、人間との衝突の増加などだ。ライオンの個体数は1980年以降、約3分の1まで激減している。FWSによれば、1980年の時点では最大7万6000頭のライオンがアフリカ大陸を歩き回っていたが、現在は3万頭ほどしかいないという。

 人間は開発や農業によってライオンの生息地に食い込み、ライオンの通り道では家畜が増えている。その結果、人間は家畜を殺された報復として、ライオンの命を奪っている。また、FWSによれば、人間は拡大する食糧需要を満たすため、“持続不可能なレベル”でライオンの餌を狩猟しているという。サハラ砂漠以南の人口は2050年までに倍増すると予測されている。

 FWSの局長ダン・アッシュ(Dan Ashe)氏はナショナル ジオグラフィックの取材に応え、「ライオンは減少の一途をたどっている。何か手を打たなければ、近い将来、絶滅の危機に瀕する可能性が高い」と警鐘を鳴らした。

 アメリカの法律で絶滅危惧種に指定すれば、「協力するための動機になるとともに、ライオンは苦境にあるという世論が喚起され」、すでにアフリカで進められている保護プログラムを強化できる、とアッシュ氏は説明する。

「威厳に満ちた象徴的な存在であるライオンが、この地球上で何が起きているかを教えてくれている」。

◆高いハードル

 現在、アメリカ国内外でライオンやその一部を販売、輸送することを阻止するような規制は存在しない。少なくともあるレストランではライオンのタコスが提供されている。

 もしFWSの計画が承認されれば、“種の存続を促進する”と認められた場合しか、動物園を除くアメリカ国内で飼育されているライオンを殺すことはできないと、FWSの広報担当者は説明する。ペットのライオンでも、食用でも、専用の牧場で行われるスポーツハンティングでも同じだ。「これはかなり高いハードルだ」。

 世界自然保護基金(WWF)によれば、アメリカ国外でライオンやその一部を販売することを禁止することで、ライオンの骨の取引を阻止する狙いもあるという。中国では薬酒の材料としてトラの骨の代わりにライオンの骨が売買されている。

 ライオンの狩猟を認めている国も、きちんと管理した上で狩猟を行っていること、ライオンの保護を目的とした現地調査と地域社会のために収益の一部を使っていることを証明しなければならなくなる。

「狩猟を認める国はわれわれに、適切な管理が行われていることと狩猟の上限が設定されていることを責任を持って証明しなければならない」とアッシュ氏は話す。

「われわれには絶大な影響力がある。アメリカの消費者の経済力を利用することで、ライオンの保護に大きく貢献できるはずだ」。

Photograph by Beverly Joubert / National Geographic Creative

文=Christine Dell'Amore

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