夏時間の良否をめぐる議論

2014.10.28
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マサチューセッツ州メドフィールドにある時計製造会社、エレクトリック・タイム・カンパニー(Electric Time Company)で従業員のスコット・ガウさんが検査中の掛時計を拭く。

Photographs by NASA Earth Observatory
 11月2日日曜日、午前2時、米国のほとんどの州でデイライト・セービング・タイム(DST)が終わると、時計は夏時間から標準時に戻される。そして2015年の3月8日日曜日には、再びDSTが始まり、時計が1時間進められることになる。毎年夏時間が終わりに近づくと、時計を進めては、また戻すことの意義について熱い論争が巻き起こる。 例えば、ユタ州経済開発局(GOED)が実施したオンライン世論調査によると、67%もの州民がDSTを廃止して、アリゾナ州と同じ山岳部標準時(Mountain Standard Time: MST)を導入したいと願っている。

「進めようが遅くしようが、多くの人は時計を動かしたくないたくないと考えている。標準時を定めたら、それに従うだけだ」と、GOEDのマイケル・オマリー(Michael O'Malley)氏は述べる。

 DSTを導入、変更、あるいは廃止する試みは、何も新しい動きではない。事実、毎年多くの州議会でそれぞれ10を超える議案が提出されていると、タフツ大学の教授で、2009年に出版された「Spring Forward: The Annual Madness of Daylight Saving Time(時計を進める:デイライト・セービング・タイムの毎年の狂乱)」の著者であるマイケル・ダウニング(Michael Downing)氏は話す。

◆遊ぶ時間が増える

「近年、DSTがエネルギーの節約に有効だといった議論は完全になくなった。事実、エネルギー節約のための政策ではなかったことに人々は気が付いたようだ」とダウニング氏は述べる。

 例えば、電力会社のロッキー・マウンテン・パワー(Rocky Mountain Power)は、ユタ州の世論調査の結果を受けて、日照時間ではなく気温が電力の消費を大きく左右するとコメントしている。

 ダウニング氏によると、DSTを実施する最大の理由は、午後の日照時間が増えることによる経済的効果であるという。

「時間が急に変わると、人々は外に出て活動したくなり、そのためお金を使うのだろう」。

 例えばユタ州では、ゴルファーなどからなる利益団体を代表する政府機関や協会はDSTの導入を支持しているとオマリー氏は言う。

「観光業や娯楽に携わる人なら、現行のシステムを継続したいと願うだろう。ユタ州のゴルフ協定の推計では、DSTの廃止によって最盛期には6%の客が減少し、毎年2400万ドル(約24億円)の損失が出る見込みだ」。

◆もっと日照時間を?

「むしろDSTの期間を延ばそうと活動する団体もある」とダウニング氏は説明する。

「ここ2~3年の間で一番大きな団体としては、全米コンビニエンスストア協会がある。ガソリンのおよそ8割がコンビニエンスストアで購入されているからだ。もし、1日の日照時間が増えれば、車に乗ってドライブを楽しもうとする人も増えるだろう」。

 ユタ州議会では、DSTに関する議案が来年1月に提出される予定だ。詳しい議案については検討中だが、オマリー氏によると、永続的に山岳部標準時を導入する案と、いくつかのオプションからなる州民投票を実施する案の2つに絞られるだろう。

 DSTに関して連邦政府は権限を持たないため、すでに廃止されている州がいくつかある。

 例えば、アリゾナ州(ナバホ・ネイションの保留地を除く)、ハワイ、プエルト・リコ、バージン諸島、アメリカ領サモア、グアム、北マリアナ諸島では、今週末時間を標準時に戻す必要はないだろう。

Photograph by Brian Snyder / Reuters

文=Brian Handwerk

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