ブラジルの干ばつ、迫る水不足の危機

2014.10.27
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干ばつ発生前の2013年8月(上)と、2014年8月のジャグアリ貯水池の画像。NASAの地球観測衛星ランドサット8号から撮影。

Photographs by NASA Earth Observatory
 干ばつに苦しむのはアメリカ西海岸のカリフォルニア州だけではない。ブラジルのサンパウロも、深刻な水不足の危機に直面している。 ブラジル南東部では過去80年間で最悪の干ばつが発生しており、これにより同国最大の都市サンパウロに水を供給する貯水池の水位が大幅に下がっている。NASAが発表した新たな衛星画像により、主要な貯水池の水量が満水時容量のわずか3~5%にまで減るなど、危機的な状況にあることが判明しており、これがこの地域の水不足を招いている。

 この地域では、2014年の総降水量が平年より300~400ミリほど少ない状況が続いている。

 10月第4週に行われた調査によると、サンパウロ在住の回答者のうち60%が、過去30日間に少なくも1度、水の供給に問題が発生したと報告している。さらにこのうち4分の3の人々が、6時間以上の断水を経験したという。

 地球観測衛星ランドサット8号の画像(写真参照)からは、カンタレイラ水系に属する5つの湖の1つ、ジャグアリ貯水池の様子がわかる。同水系はサンパウロ都市圏に住む2000万人の約半分に水を供給している(加えて、同都市圏を除くサンパウロ州全体にも2000万人が居住している)。この衛星画像は、最近の干ばつが始まる前の2013年8月撮影の画像と、2014年8月の同じ場所の画像だ。

 2014年撮影の画像では、1年前と比較して水面が明るい色に写っているが、これは水深が浅くなっているためだ。さらにこの写真が撮影された2014年8月から2カ月の間に、貯水池の水量は満水時の12%から4%にまで減少した。

 南半球の夏(12月から翌年2月)は通常、この地域では最も降水量の多い時期だが、前回の夏の降水量は平年のわずか3分の1から2分の1だった。それ以降も、降水量は平年の40%程度の状態が続いている。

 ビソーザ連邦大学所属の気候科学者、マルコス・ヘイル・コスタ(Marcos Heil Costa)氏はNASAに対し、今回の干ばつは「かつてない規模だ」と話している。

 水不足はコーヒー農家をはじめとするこの地域の栽培農家に損害を与えるほか、経済成長の阻害要因にもなりかねないと、州当局は警告している。21日には、政府の高官がサンパウロ市住民に対し、今後はさらに深刻な水不足のおそれがあると宣告した。

「このまま雨が降らなければ、この地域が今までなかったようなかたちで崩壊に至るリスクがある」と、ブラジル水資源庁のビセンテ・アンドレウ(Vicente Andreu)長官は、州議会議員に警告している。

 科学者の中には、ブラジルで近年になって森林伐採のペースが上がっていることが、今回の干ばつの一因ではないかとする声もある。樹木の蒸散作用が失われると、雲が形成されにくくなることが知られているためだ。

Photographs by NASA Earth Observatory

文=Brian Clark Howard

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