キタシロサイのオス、残りあと1頭に

2014.10.21
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2010年11月にケニアのオルペジェタ自然保護区で撮影したスニ。17日、34歳で死亡した。

Photograph by Barcroft Media / Getty Images
 地球上に2頭だけ残る繁殖可能なオスの1頭スニ(Suni)が死亡し、キタシロサイがまた一歩絶滅に近づいた。 10月17日、ケニアにあるオルペジェタ自然保護区(Ol Pejeta Conservancy)の囲いの中で、34歳のスニの死体が発見された。声明によれば、おそらく自然死だという。シロサイの寿命は長くて40~50歳と考えられている。

 スニの死により、地球上に生息するキタシロサイは6頭のみとなった。スニは子孫を残しておらず、繁殖できるオスはあと1頭しかいない。同じシロサイの仲間ミナミシロサイも、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されている。

 チェコのドゥブール・クラーロベー動物園(Dvur Kralove Zoo)で生まれたスニは、希望の象徴だった。絶滅危惧IA種に分類されるキタシロサイを救うための最後の頼みとして2009年、スニを含む全世界のキタシロサイ8頭がオルペジェタ自然保護区に送られた。

 現在のところ、成果は出ていない。世界自然保護基金(WWF)でアフリカの生物種を保護するプログラムの上級責任者を務めるマシュー・ルイス氏は、「あのような事態に陥ったのは残念だ。キタシロサイを復活させるために努力してきたが、最悪のシナリオが現実になった」と悔やむ。

 キタシロサイは“進化の犠牲者”だと、ルイス氏は表現する。大地溝帯と中央アフリカの密林によってミナミシロサイと切り離されて暮らしてきた。

 ただでさえ孤立し、少数で生き延びてきたところに、スーダンや中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、ウガンダの政治的な混乱に巻き込まれた。さらに、密猟や生息地の消失が重なり、個体数が激減した。

◆「単なるカリスマ的な動物ではない」

 繁殖可能な雄がわずか1頭となったキタシロサイの未来は厳しい。ノースカロライナ州ダーラムにあるデューク大学で保全生態学の研究を行うスチュアート・ピム(Stuart Pimm)氏は、実質的にはすでに絶滅したと考えている。

「キタシロサイを失ったという事実は、アフリカ全土で大型動物がいかに苦しんでいるかを伝えるメッセージでもある」とピム氏は話す。「どこに暮らしているかにかかわらず、サイたちは大量に密猟され、苦境に陥っている」。

 アフリカでは、ライオンからゾウに至る多くの大型動物が密猟などの人的な原因によって激減している。

「スニの死は、サバンナの生態系にとって重要な固有の動物を失うことも意味する」とピム氏は指摘する。

 サイは草原の健康を維持する役割を果たしている。サバンナに生える特定の種の植物を食べることで、増殖を抑えているのだ。

「単なるカリスマ的な動物ではない。はっきりした生態学的な役割を持っており、そうした動物を失うのはとても憂慮すべき状況だ」。

◆まだあきらめていない

 とはいえ、科学者たちはまだキタシロサイを見捨てていないと、WWFのルイス氏は述べている。

 例えば、最後に残されたオスが交尾しないようであれば、キタシロサイのメスをミナミシロサイと交配することもできる。

 オルペジェタ自然保護区もまだあきらめていない。「これからもできることを続けていくつもりだ」と声明には書かれている。「いつの日かキタシロサイの子供が生まれるという形で努力が実を結ぶことを夢見ている」。

Photograph by Barcroft Media / Getty Images

文=Christine Dell'Amore

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