エディンバラ大学の火山学者ジョン・スティーブンソン氏は、「このペースがこれほど長く続くとは驚異的だ」と話す。
溶岩流が拡大する地域には誰も暮らしていない。しかし、噴火と関連した地震が続いているため、新たな噴火が発生する可能性もある。もし近くにある氷冠の下で噴火が起きれば、解けた氷が大洪水を引き起こしたり、蒸気によって火山灰が噴き出したりする危険がある。2010年にエイヤフィヤットラヨークトル火山が噴火した際には、火山灰の雲が発生し、航空機の運航に支障が出た。
ホルフロインは人里離れた場所にあるものの、最新機器のおかげで、噴火の様子はかつてないほど細かく観測されている。
アイスランド大学地球科学研究所(Institute of Earth Sciences)の地球物理学者ステファニー・デュモント(Stephanie Dumont)氏は、「すでに膨大なデータが集まっているため、今回の噴火がどのように展開しているかが手に取るようにわかる」と話す。例えば、地震計のネットワークによって、地下のマグマが岩石の割れ目に貫入し、噴火を引き起こす様子を追跡できた。
当初、地下の浅い空間に蓄積されているマグマが今回の噴火を引き起こしたと考えられていた。しかし、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校の火山学者アグスト・グズムンドソン(Agust Gudmundsson)氏によれば、溶岩の流出が長ければ長いほど、地下深くのマグマがかかわっている可能性が高いという。「世界中の火山を見渡しても、浅いマグマだまりがこれほど長く開いていた前例はない」。
地中深くのマグマがかかわっている場合、いつ溶岩の流出が止まるかは予想できない。さらに噴火が続き、有毒ガスの二酸化硫黄が遠くまで漂う恐れもある。
Image captured from video by National Geographic