ノーベル物理学賞、青色LEDの革命

2014.10.08
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東京の街を彩るイルミネーション。LED照明は、世界中の家屋やビルのエネルギー効率向上を実現した。

Photograph by Toru Hanai / Reuters
 2014年のノーベル賞受賞者が7日に発表され、青色発光ダイオード(LED)を発明し、照明の世界に革命をもたらした3人の科学者が物理学賞に輝いた。常識を覆すような大発見ではないが、世界中で進む照明効率の改善への道を開いた核心的技術が実現したと授賞理由で述べられている。 選考を行ったスウェーデン王立科学アカデミーのプレスリリースによれば、物理学賞に選ばれた赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏は1990年代に青色LEDを開発し、“照明技術に根本からの変革を促した”という。

 既に開発済みの赤と緑に加えて青色LEDが実現したことにより光の3原色が揃い、実用的な白い光のLED電球を製造できるようになった。

 LEDは、電球型蛍光灯や白熱電球などの従来型照明よりエネルギー消費が少ない。単位電力あたりの明るさは、普及型のLED電球が1ワットあたり83ルーメン(lm/W)と、電球型蛍光灯の67、白熱電球の16を圧倒している。

 LEDは、半導体に流れた電流が直に光に変換される。一方、フィラメントに流れる電流の抵抗熱で発光する白熱電球は、熱エネルギーの無駄が生じ効率が悪い。アメリカでは、既に大部分の白熱電灯がLEDに取って代わられているという。

 また、米国エネルギー省エネルギー情報局によれば、LEDは白熱電球より約30倍も長持ちするという。多くの製品が最大2万5000時間使用できるとうたっている。毎日約4時間使用した場合、17年以上持つ計算だ。

 LEDの導入で大きな障害となるのがその価格だ。同等の電球型蛍光灯より2倍以上高い製品もある。しかし普及が進むにつれ価格も下降気味で、利用が急拡大している。エネルギー関連の調査会社IHSが公表した最新の報告書によれば、“かつてないペースでLEDの導入が進んでおり”、2014年以降、あらゆる照明技術の中でもLEDの収益が最大の割合を占めるようになる見通しだという。

 照明の変革が進む現場は、住居だけではない。街灯や公共の場を彩るイルミネーション、商業ビルなど、エネルギーを大量消費する施設や設備にも導入が進んでいる。調査会社ナビガント(Navigant)は最新の報告書で、世界の街灯に使用されているLED電球の数は2014年の時点で1320万、2023年には1億1600万を超えると予測している。

 また、スウェーデン王立科学アカデミーは、電気のない生活を送る世界中の15億超の人々にLEDが光をもたらすと期待している。エネルギー貧困と言うべきこの現状の打開策として、LED照明、中でも太陽エネルギーを利用するキットの配布が提案されており、例えば、ナショナル ジオグラフィックの助成金を受けるNPO、ソーラー・エレクトリック・ライト・ファンド(Solar Electric Light Fund)は、アフリカの農村部の病院や住居にLED電球を取り付ける活動を行っている。

Photograph by Toru Hanai / Reuters

文=Christina Nunez

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