海山を探索する潜水艇。宇宙探査機の衛星画像から数千カ所の新しい海山が発見され、10月2日に発表された。

Photograph by Brian Skerry / National Geographic Creative
 10月2日の発表によると、海底で新たに数千カ所の山や古代の地溝が発見された。深海の堆積物の下に隠れていた地形が、衛星画像から明らかになったという。 今年3月にインド洋で消息を絶ったマレーシア航空MH370便は、未だに手掛かりが掴めずに捜索が続いている。 難航を極めている主な理由は、世界の深海の大部分で詳しい地図が作成されていないからだ。今回の新しい衛星 画像は、初めて5キロ四方という詳細な解像度で海底地形をマッピングしている。

 観測の対象は、メキシコ湾、南シナ海、南大西洋など、世界の海の大部分をカバーする大規模なミッションだ った。

 研究責任者でカリフォルニア州ラホヤにあるスクリップス海洋研究所のデイビッド・サンドウェル(David Sandwell)氏は、「海底地形を素早く包括的に調べるには、宇宙から観測するしかない。船でこのような地図を 作成する場合、現在のペースなら、あと200年はかかるだろう」と話す。

 研究チームは、欧州宇宙機関(ESA)の「クライオサット-2」とNASAの「ジェイソン1(Jason-1)」を利用して 隠れた地形を発見。どちらも海面の変動を追跡する海洋観測衛星だ。

◆重力観測で海底をマッピング

 衛星にはレーダー高度計が搭載されており、海洋表面のさざ波やへこみを検出できる。例えば巨大な海嶺や海 山の重力の影響で、その上の海面は10センチほど低下する。

 逆に海底に割れ目や地溝が存在すると、重力が減少し海面が上昇する。

 このような海面の偏差のパターンをつなぎ合わせると、海底を覆う砂や堆積物の軟層の下に隠れていた地形が 浮かび上がるという。例えば、次のような地形だ。

・高さ1000~2000メートルの新たな海山、数千カ所。
・南アメリカとアフリカから南方向の角度に突き出している複数の海嶺(後者は全長800キロ、幅100キロもあ る)。かつて両者はつながっていたが、8300万年以上前に南大西洋の拡大によって分断した。
・以前、メキシコ湾の下に伸びていた海嶺。海洋地殻が変動していた時期に拡大、形成された。

 台湾の国立交通大学のチェインウェイ・ホワン(Cheinway Hwang)氏と国立台湾大学のエミー・チャン(Emmy Chang)氏は、海洋専門家の立場から今回の研究について、「この地図は宇宙ベースの海上重力観測におけるブレ ークスルーだ」と高く評価している。

◆海底地図の未来を担う

 研究チームによると、世界の海域の約80%は、船からの水深測量によるマッピングが実施されていない。「今 回明らかになった海底地形や水深は、空白地域を埋める出発点になる」とサンドウェル氏は話す。

 得られた成果は、海底の鉱物資源探査や、深海流の流れの解明に大きく役立つはずだ。

 クライオサット-2は今後数年間、高度400キロの軌道から海面観測を続ける予定だ。データが蓄積されれば重力 観測マップの精度が向上し、海底に点在する高さ1000メートル以下の未知の海山が、数十万単位で見つかる可能 性がある。

 しかし、「行方不明の航空機の発見には結び付かないだろう。もちろん、墜落当時は私たちも調べたのだが」 とサンドウェル氏は言う。しかし、重力マップの解像度を考えると、「将来的には、探索用の地図として大いに 役立つようになるはずだ」と期待を寄せている。

 今回の研究結果は、10月3日発行の「Science」誌に発表された。

Photograph by Brian Skerry / National Geographic Creative

文=Dan Vergano