熱帯雨林のために戦うペルーの生態学者

2014.09.29
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アマゾン熱帯雨林の南部、ペルーのマードレ・デ・ディオス(Madre de Dios)県にあるマヌー国立公園。手付 かずの熱帯雨林が最も広く残る場所の一つだ。ペルー政府は最近、環境保護政策の多くを緩和した。

Photograph by Enrique Castro-Mendivil/Reuters/Corbis
 ペルーの著名な生態学者、環境保護主義者エルネスト・ラエズ・ルナ(Ernesto Raez-Luna)氏はアマゾン熱帯雨林を守るための戦いに自身のキャリアを費やしてきた。そして2011年、ペルー環境省のアドバイザーに任命された。 ところが7月、ここ10年で策定された数々の環境保護政策と逆行する法律を政府が支持したため、ラエズ・ルナ 氏はアドバイザーを辞任した。2008年に創設された環境省は自然保護区を指定し、鉱業や石油開発から自然を守 る権限を失った。

 ナショナル ジオグラフィックはマヌー国立公園でラエズ・ルナ氏から話を聞いた。マヌー国立公園は手付かず の熱帯雨林が最も広く残る場所の一つで、政治の任務を終えたラエズ・ルナ氏はこの大自然の中で“充電”して いる。

◆あなたが環境省のアドバイザーを辞任したのは、環境関連の法律に違反した企業への罰金を減額または廃止す る法律を支持できなかったためですね。そもそも政府はなぜこのような法律を制定したのでしょうか?

 政府は経済成長の鈍化の原因を環境関連のルールや手続きが多すぎるためだと考えているのです。経済成長の 鈍化といっても数カ月のことなのですが。

◆この法律を撤回させる以外に、熱帯雨林を救うためにやるべきことは何ですか?

 保護区を指定することです。先住民にはそこで暮らす権利があるため、熱帯雨林を100%厳格に守ることはでき ません。道路を建設し、地下の石油やガスを採掘したい人もいるでしょう。技術的には最小限の影響でこれらを 実現できると私は考えています。しかし、実際の影響はどうでしょう? 答えはノーです。

 ただし同時に、消費のパターンを変える必要もあります。熱帯雨林が失われている一因として、中国で中間層 が急増し、豚肉の需要が拡大していることが挙げられます。豚の餌となる大豆はかつて熱帯雨林だった土地で栽 培されています。つまり、われわれ自身の暮らしを変えるということです。例えば、SUVに乗っている人は環境保 護主義者を自称すべきではありません。

◆気候変動はアマゾン熱帯雨林にとってどの程度の脅威だと思いますか?

 気候変動は現実であり、われわれが引き起こしているものです。それは間違いありません。しかし、5年後や50 年後ではなくたった今起きているさまざまなことが熱帯雨林をむしばんでいるのも現実です。農業のための森林 伐採、持続不可能な鉱業、農薬や肥料による汚染。昔からの脅威が今もあり、かつてないほど強大になっている のです。

 ただし、ぞっとするような気候モデルも存在します。熱帯雨林を支えている気候が大きく変化し、われわれの 周りにあるすべての熱帯雨林が消えてなくなることを示唆しています。われわれがやるべきことと実際に行って いることの隔たりを見る限り、おそらくこの運命から逃れることはできないでしょう。

◆熱帯雨林は消える運命にあるとしたら、なぜアマゾンのために戦うのですか?

 戦いは死ぬまで続きます。勝ち目があるかどうかなど関係ありません。大切なのはどのような人生を送るかで す。正しいことのために戦い続ければ、戦いに倒れても安らかに眠ることができます。

Photograph by Enrique Castro-Mendivil/Reuters/Corbis

文=Emma Marris

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