カリフォルニア初の地下水規制法が成立

2014.09.19
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9月のカリフォルニア州ロス・バノス。何も植えられていない農地をトラクターが走り、土ぼこりを巻き上げる。3年連続の干ばつにより、同州の貯水量は記録的な少なさとなっている。

Photograph by Justin Sullivan / Getty
 米国カリフォルニア州は先進的な環境政策で知られるが、地下水採取に関する規制は長らく全米で最も緩い部類に入っていた。それが変わったのは今月16日。地下帯水層からの水のくみ上げ規制に向けた3法案に、ジェリー・ブラウン同州知事が署名したのだ。 カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の水文学者ジェイ・ファミグリエッティ(Jay Famiglietti)氏は、「これで問題がすべて解決するわけではないが、正しい方向への重要な一歩だ」と評価している。

◆「口座」は残高ゼロ

 カリフォルニア州の多くの農家にとって、地下水は欠かせない蓄えだ。地表水が減少する干ばつの年に備えた「戦略的備蓄」といえる。通常の年には、帯水層は州の水供給のうち30~40%を担っているが、干ばつの年にはそれが60%近くになる。

 カリフォルニア州の豊かな農業地帯、セントラルバレー産の野菜や果物が全米で常に大きなシェアを占めているのは、こうした水の蓄えのおかげだ。作られている作物は全部で300種を超え、ザクロからアーモンド、アスパラガス、トマトまで幅広い。

 しかし、電動モーターの発達により初めて広い範囲で地下水がくみ上げられるようになった1920年代以降、州内の土地所有者は、地下の帯水層という「口座」から大量の引き出しを続けてきた。現在の物も含めた、近年の深刻かつ長期の干ばつで、状況はさらに悪化している。

 州の地下水は枯渇寸前であり、残高のなくなった銀行口座も同じだ。帯水層が比較的薄いセントラルバレーの端では公営の井戸が枯れつつあり、小さな町では法外な値段で水を輸入せざるを得なくなっている。過剰なくみ上げが常態化したことで、バレーの広い範囲で土地の沈降が起こり、この数十年で9メートル以上沈降したところさえある。地下水を水源とする多くの地表の小川も水量が激減し、その川に依存している種が脅かされている。

 しかし大抵の場合、カリフォルニア州の土地所有者は今でも資金が許すだけ多く、そして深く井戸を掘削でき、政府機関や近隣住民の許可は必要ない。少数の例外を除き、井戸の利用者は水のくみ上げ量を報告する必要はなく、一般市民による掘削記録の閲覧は大幅に制限されている。

 この10年、ファミグリエッティ氏らの研究チームはNASAの衛星データを分析し、このような情報不足の補完に役立ててきた。研究では、セントラルバレーの農家が地下水を採取するペースは、雨と雪解け水が土壌と岩盤層に浸透して帯水層を再び満たす速さを大きく上回っていることが判明している。

◆効果が出るのはいつ?

 カリフォルニア州の強力な農業ロビー団体は、地下水のくみ上げを規制するあらゆる立法の動きに長年にわたって抵抗してきた。しかし、現在の干ばつの長さと深刻さに加え、州の水需要も高まる一方のため、制度改革が今回幅広い支持を得るに至った。

 16日に署名された法案は、来年1月に発効する。これにより地域ごとに地下水管理機関が決められ、地下水のくみ上げ制限、井戸の閉鎖、従わない土地所有者に対する罰金や罰則の賦課といった権限を与えられる。新法は州の機関に対し、地域機関が作成した地下水維持計画を監督するよう指示しており、地域ごとの行動が不十分な場合には介入する権限も与えている。

 一方、新法は地域機関に地下水維持計画の作成期間として5~7年を与えており、持続可能性の達成時期は2040年に設定されている。カリフォルニア大学デービス校の環境法教授リチャード・フランク(Richard Frank)氏は、「緊急事態にしてはあまりに悠長な計画」と批判的な見方を示している。

Photograph by Justin Sullivan / Getty

文=Michelle Nijhuis

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