葉をかじるプス・キャタピラー。

Photograph by George Grall / National Geographic
 ふわふわで癒される、といった類のものではない。猛毒であるにもかかわらず、ついつい触らずにはいられないふさふさの毛虫が大発生している可能性があり、アメリカ東部の人々が病院に担ぎ込まれているというのだ。 フロリダ大学の昆虫学者ドン・ホール(Don Hall)氏によると、プス・キャタピラーという名前は可愛らしいネコ(puss)に似ていることからついたものだ。一見、柔らかそうに見えるが、外側のふさふさした毛の下には猛毒を持つ小さなトゲが隠れていて、これが人の皮膚に突き刺さる。

「プス・キャタピラーのトゲはハチの針のような触覚だが、もっとやっかいだ。刺さると同時に痛み出し、たちまち痛みがひどくなる。骨まで達することさえあるほどだ」とホール氏は説明する。

「体のどの部分に刺さったのか、どれくらい多くのトゲが皮膚に入り込んだのかによって、痛みの度合いは変わってくる。手を刺された人たちの話によると、痛みは肩まで達し、長くて12時間続くということだ」とホール氏は言う。

◆大発生と減少

 ホール氏によると、この種の毛虫は大発生と減少を繰り返す習性があり、周辺の気候、餌の量、寄生虫の数などによって生息数が大きく上下するということだ。

 プス・キャタピラーの生息数は増加傾向にあると見られており、このことは現在多くの人が刺されていることの説明になる、とホール氏は言う。

 ホール氏自身、何度も刺された経験がある。車庫で育てている若い幼虫にやられたケースがほとんどだという。一般的に、孵化から日が経ち毛が長くなった毛虫に比べ、若いうちはトゲの数は少ない。

 プス・キャタピラーに刺された場合、確立した治療法はない。しかし、局所にセロハンテープを貼って剥ぎとり、傷口に残っているトゲを取り除くようにすると、痛みを軽減する効果があるとホール氏は言う。

◆糞飛ばし

 プス・キャタピラーにはほかにも奇妙な習性がある。糞を遠くへ飛ばすというものだ。寄生虫が糞に引き寄せられ、毛虫本体に危害を及ぼすのを防ぐためにこのような行動を取るのではないかとホール氏は見ている。

 ネコのような毛の下に毒針を隠し、糞を飛ばす毛虫によって、人が病院に担ぎ込まれる事態が起きている。さて、母なる自然は、次は何を思いつくのやら。

Photograph by George Grall / National Geographic

文=Carrie Arnold