光を操り、姿を隠すシャコの子ども

2014.09.18
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目が青緑に輝くシャコの幼生。

Photograph by Kathryn Feller
 最新の研究によれば、シャコの子どもはオパールのような青緑の光を反射して目の存在を消すことで周囲に溶け込んでいるという。 大人のシャコは動物界でもたぐいまれな素早い攻撃で知られる。一方、小さな子どもはか弱く、透明な体で捕食者の攻撃をかわしている。ただし、目は構造上、完全な透明とはいかない。どのように周囲に溶け込ませているかが長年の疑問だった。しかしついに、この謎を解明するための実験とその結果が「Journal of Experimental Biology」誌オンライン版に17日付で発表された。

 アメリカ、メリーランド州ボルチモア郡にあるメリーランド大学の博士課程で動物の視覚について研究しているキャスリン・フェラー(Kathryn Feller)氏によれば、像を形成する目が相応の視力を獲得するには色素が必要だという。色素などの不透明な物質によって光受容体を独立させなければ、鮮明な像ではなく大きなぼやけた塊しか見えないと、フェラー氏は説明する。

◆青緑の輝き

 フェラー氏によれば、シャコの幼生の目は光の加減で青や緑を帯びた乳白色に輝くことで知られているという。この輝きによって目を隠しているのではないかと推測されているが、実際に検証した者はいないという。

 そこで、フェラー氏はオーストラリア、リザード島(Lizard Island)の周辺で捕まえたシャコの幼生と野生の幼生を調べてみることにした。目から反射された光と背景にあたる水中の光のコントラストを測定した。

 フェラー氏は当初、乳白色の輝きが何らかの形で両者のコントラストを弱めているのではないかと予想していた。「いつでもどこでも通用するカモフラージュなど存在しない」。ところが、データを見ると、目から反射される光と背景の光にはほとんど違いがなかった。「これにはとても驚いた」とフェラー氏は振り返る。

 フェラー氏が調べた3つの種すべてで同様の結果が出た。水深や時刻、フェラー氏とシャコの角度、太陽と水面の角度は無関係だった。

 フェラー氏らは、生息環境の光に合わせて目の輝きが微調整されているのではないかと考えている。西大西洋に生息する種の目の輝きを計算したところ、リザード島周辺の光とはおそらく一致しないという結果が出た。

◆小さな球状の結晶

 フェラー氏は現在、この輝きの仕組みを調べており、「おかしなものが見つかりそうだ」と話している。光を反射して乳白色の輝きを生み出す層は精密な球状の結晶で構成されること、複眼の中で光受容体を独立させる色素の真上にあることがわかったのだ。 「ある特定の波長の光を散乱させる構造だ」とフェラー氏は説明する。

 フェラー氏によれば、動物界を見渡せば、こうした光を反射する結晶は決して珍しくないという。甲虫やゾウムシではよく見られる。

 それでも、シャコの場合、配置が相当変わっていると、フェラー氏は話す。「正直、彼らのすることには少し面食らっている」。

Photograph by Kathryn Feller

文=Jane J. Lee

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