“絶滅”の陸貝を再発見、セーシェル

2014.09.16
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セーシェル諸島、アルダブラ環礁のマラバー島(Malabar Island)で再発見されたアルダブラ・バンディド・スネイル。

Photograph by SIF/C Onezia
 1世紀余り前、アルダブラ・バンディド・スネイル(Aldabra banded snail、学名Rhachistia aldabrae)の色鮮やかな殻を見つけるのはたやすいことだった。インド洋に浮かぶセーシェルの中でもマダガスカル寄りに位置するアルダブラ環礁では最も一般的な陸貝だった。 ところが2005年の時点で、アルダブラ・バンディド・スネイルはその貝殻だけが残された幻の種となっていた。1997年以降、生きた姿は目撃されておらず、気候変動の影響で降雨量が減少し、絶滅したと考えられていた。

 そして2007年、アルダブラ・バンディド・スネイルは間違いなく絶滅したと断言する論文が「Biology Letters」誌に発表された。

 ところが今年8月後半、セーシェル諸島基金(SIF)の研究チームがアルダブラ環礁の中でも特に近づきにくい場所に足を踏み入れ、怪しい陸貝を数匹見つけた。そして、専門家たちと協議し、アルダブラ・バンディド・スネイルを再発見したと世界に向けて発表した。

 SIFの研究チームは結局、7匹のアルダブラ・バンディド・スネイルを捕まえた。特筆すべきは、複数の子供が含まれていたことだ。

◆「私が間違っていた」

 セーシェル自然保護トラスト(Nature Protection Trust of Seychelles)の科学コーディネーター、ジャスティン・ガーラック(Justin Gerlach)氏は2007年の論文で、アルダブラ環礁の乾燥が進行した結果、高湿度の環境を必要とする子供を中心にアルダブラ・バンディド・スネイルが干からび、ついに絶滅に追い込まれたと主張している。

 この論文では降雨量のデータも示されており、アルダブラ環礁の乾期が長くなっていること、降雨量が少ない年が増えていることが読み取れる。

 また、ガーラック氏の仮説は、アルダブラ・バンディド・スネイルの子供が1976以降見つかっていなかった事実とも一致する。

 ガーラック氏はナショナル ジオグラフィックの取材に対し、「1970年代以降、アルダブラ・バンディド・スネイルの個体数が激減したのは確かだが、少数が生き残り、繁殖を続けていたようだ」とコメントしている。ガーラック氏は国際自然保護連合(IUCN)気候変動作業部会(Climate Change Working Group)でも両生類担当のまとめ役を務めている。

「つまり、私が間違っていたということだ。アルダブラ・バンディド・スネイルはまだ絶滅していなかった。限りなく絶滅に近い状況ではあるが、幸いまだ命をつないでいる」。

◆危機を脱したわけではない

 SIFの研究チームは、アルダブラ・バンディド・スネイルの復活にそれほど驚いていない。

 チームの一員だったヘザー・リチャーズ(Heather Richards)氏と同僚のナンシー・バンバリー(Nancy Bunbury)氏は電子メールで取材に応え、「アルダブラ環礁はとても広いため、このような(うまく隠れていた)種が17年にわたって目撃されていなくても不思議ではない」と述べている。

「ただし、個体数が激減しているのは事実であり、この種の長期的な未来は決して明るくない」。

 アルダブラ環礁や世界中の沿岸部に暮らす多くの種と同じく、気候変動や海面上昇が長期的な脅威であることに変わりはないと、リチャーズ氏とバンバリー氏は警鐘を鳴らしている。ガーラック氏も同様の懸念を口にしている。

「アルダブラ・バンディド・スネイルが絶滅していなかったこと自体は喜んでいる。しかしわずか7匹が見つかっただけでは、もう心配いらないという証明にはならない」。

Photograph by SIF/C Onezia

文=Jason Bittel

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