ニカラグアのクレーター、隕石説に疑問

2014.09.09
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ニカラグア軍が9月7日に公開した、首都マナグア近郊のクレーター。隕石落下説に対して、多くの専門家が懐疑的な見方を示している。

Photograph by Nicaraguan Army / AP
 ニカラグアの首都マナグア近郊で6日夜、大きな爆発音が鳴り響き、その後の捜索の結果、大きなクレーターが発見された。地球近傍を通過中だった小惑星から分離した隕石が、地球に衝突したとの見方が広がっているが、NASAの専門家からは疑問の声が上がっている。 現場はマナグア郊外の国際空港近くで、直径12メートル、深さ5メートルのクレーター周囲の樹木がなぎ倒されている。同国の天文学者らは複数のメディアに対して、7日に地球に最接近した小惑星「2014 RC」の破片が落下したとする見解を発表。だが国外の専門家からは、小惑星との因果関係を疑問視する声も聞かれる。大きさが住宅一軒ほどの2014 RCは、地球から3万6000キロ付近を通過した。

 小惑星に詳しいマサチューセッツ工科大学(MIT)のリチャード・ビンゼル(Richard Binzel)氏は、「情報は限られているが、地球との接近距離を考えると2014 RC由来の隕石が衝突した可能性は低い」と話す。

◆疑わしい隕石落下説

 クレーターの発見現場付近の住民らによると、爆発音が聞こえたのは午前0時過ぎ。その後のニュース報道の中で、ニカラグア地震研究所(Nicaragua's Institute of Earth Studies)の地球物理学者ウィルフリード・シュトラウヒ(Wilfried Strauch)氏が、小惑星の破片が落下したという見解を示した。

 だが、『地球接近天体』の著者で小惑星の専門家でもあるNASAのドン・ヨーマンズ(Don Yeomans)氏によると、国外の主な意見は概ね否定的だという。

「爆発音は2014 RCの地球最接近より13時間も前に発生している。両者は無関係だろう」とヨーマンズ氏。半日あれば、地球はおよそ140万キロも移動する。「爆発音より前にも、火の玉や物体の飛跡などの目撃情報もなかった。衝突音の可能性は低いと考えられる」。

◆過去の事例

 もっとも、過去には小惑星の地球接近時に隕石が落下した事例もある。記憶に新しいところでは、2013年2月15日、ロシアのチェリャビンスクのケースだろう。地上の多くの建物が、実際に被害を受けている。

 チェリャビンスクには、2014 RCとほぼ同じ大きさの小天体がロシア上空で爆発、分離した破片が落下。爆発のエネルギーはおよそ500キロトンで、同時に放出された強烈な光のために、皮膚に炎症を負った目撃者もいたという。一方、同じ日に南半球側でも小惑星が接近通過したが、地上への影響は皆無だった。

Photograph by Nicaraguan Army / AP

文=Dan Vergano

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