ハタ(右)が示した場所で獲物を探すウツボ(下)。

Image captured from video courtesy of Redouan Bshary
 最新の研究によれば、サンゴ礁に暮らすハタとウツボは協力して獲物を捕まえているという。 このように協力し合うのは人間やチンパンジーだけだと考えられていたが、チームワークは予想以上に動物界に浸透しているのかもしれない。

 西太平洋に生息する大きな赤いハタ、スジアラは、獲物が亀裂の中にいて捕まえられないとき、体を揺らしながらウナギの仲間ウツボの前を通過する。獲物を亀裂から追い出してほしいと“依頼”しているのだ。

 体を揺らすのは“狩りに行こう”という合図だが、すべてのウツボに手当たり次第に合図を出すわけではない。「Current Biology」誌に8日付で発表された研究論文によれば、スジアラは協力相手として適任なウツボを記憶し、同じウツボに繰り返し依頼するという。ウツボは見返りとして、スジアラが捕まえられなかった獲物を自由に食べることができる。

◆実験

 イギリス、イングランドにあるケンブリッジ大学とスイス、ヌーシャテル大学の研究者たちは実験のため、研究室でスジアラを飼育し、典型的な狩りのシナリオを再現した。

 まず、操り人形のウツボを2体用意した。片方は役に立つウツボで、もう片方は役に立たないウツボだ。

 スジアラが役立たずのウツボの前で体を震わせると、研究者扮(ふん)する人形遣いはウツボを間違った方向に泳がせた。一方、スジアラが役に立つウツボの前にやって来ると、こちらのウツボは自分の仕事をこなし、スジアラは餌にあり付くことができた。

 6日かけて48回繰り返した結果、スジアラは目的達成の役に立つウツボを覚え、そちらのウツボから協力を得るようになったと、ケンブリッジ大学の海洋生物学者アレックス・ベイル(Alex Vail)氏は話す。

◆新たな疑問

 アメリカ地質調査所ノースカロライナ共同魚類野生生物研究ユニット(North Carolina Cooperative Fish and Wildlife Research Unit)のトム・クワック(Tom Kwak)氏は第三者の立場で、この研究結果によって1歩前進したのは確かだが、同時にいくつもの疑問がもたらされたと評価している。

 例えば、処理能力の限られた魚がこれほど複雑な任務をどのように遂行しているかだ。

 魚の脳はチンパンジーや人間の脳に比べ、神経の接続がはるかに少ない単純な構造だ。

 脳を効率的に働かせればこうした制約は回避できるが、実際のところ、どうしているかはわからない。

「(人間は)やりたいことについて考え、あらゆる手を使ってそれを成し遂げようとする。動物も同じように考え抜いているのか。それとも、単純に行動しているのだろうか」。

「どのような知的プロセスを用いて協力し合っているのか。その点を解明する必要がある」。

 一方、オーストラリア、シドニーにあるマッコーリー大学の生物学者カラム・ブラウン(Culum Brown)氏は、どのようなメカニズムが働いているにせよ、「魚はほとんどの人が考えているよりはるかに賢い」と述べている。

Image captured from video courtesy of Redouan Bshary

文=Mollie Bloudoff-Indelicato