“超ド級”の恐竜発見、体重60トン

2014.09.05
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地上動物で最重量の大型竜脚類「ドレッドノータス・シュラニ(Dreadnoughtus schrani)」。脊椎骨(せきついこつ)の化石22点で再現された尾と、発見者のケン・ラコバラ(Ken Lacovara)氏。ほかにも10点の化石を採集している。

PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK / EXCEL MAGAZINE / DREXEL
 9年間の発掘努力と研究の結果、ついに地球上最大級の動物がその姿を現した。ティタノサウルス類の最も完全な骨格が、恐竜の大型化の過程を探る上で新たな知見に結びつくことは間違いない。 新たにお目見えした恐竜は、その大型サイズに敬意を表し、イギリス海軍の「超ド級」大型戦艦ドレッドノート(HMS Dreadnought:1906~19年)にちなんで、「ドレッドノータス・シュラニ(Dreadnoughtus schrani)」と命名された。

 アメリカ、ドレクセル大学の古生物学者ケン・ラコバラ(Ken Lacovara)氏のチームが計算したところ、生存時は全長26メートル、体重は60トン近くもあり、第二次大戦後の英国主力戦車チーフテンをしのいだという。この大きさだったら、「生息していた8400万~6600万年前当時の氾濫原で、忍び寄ってきた捕食動物に攻撃されても、成体のドレッドノータスはびくともしなかっただろう」と研究チームは記述している。

 ドレッドノータスが属するティタノサウルス類は、小型の頭部、長い首、先細の尾を持った大型草食恐竜で、その特徴から竜脚類に分類されている。おなじみの恐竜、アパトサウルス(ブロントサウルス)のその仲間だった。彼らは、まるで“先史時代のサラダバー”を廻るように、悠然と歩き回り、シダ類や樹木から葉を摘み取って食べながら日がな一日を過ごしていたという。

 新たに登場したドレッドノータスの注目すべき点は、復元された標本の量だ。骨の化石は2個体分に相当し、上腕と大腿骨が揃っている。骨の外周から体重を推定したラコバラ氏のチームは、これまでのところ「実測可能な質量として地上動物で最大」と推定する。

◆“巨大な”発見

 しかし、当初はそれほど印象的ではなかったという。「アルゼンチン南部の砂漠を探査していた2005年、1シーズン目の現地調査の初日に、骨の山に行き当たった」とラコバラ氏は回想する。断片の寄せ集めにしか見えなかったが、後で掘り返すと大きな肢の骨が出てきた。

「その日の終わりには10本の骨が出土した。まったく驚いたよ」。その後、4シーズンにわたる現地調査の結果、145本の骨を発掘したという。

 全身骨格の約45%相当の化石と左右対称となる一部の骨を併せて、研究チームはドレッドノータスの骨格の70%を再現。ちなみに従来から最大と目されていた、同じティタノサウルス類のフタロンコサウルスの場合は、わずか27%に留まっている。

 今回の推定も驚くべき値だが、ドレッドノータスはさらに大きく成長していた可能性もあるという。アメリカ、マカレスター大学の古生物学者クリスティ・カリー・ロジャーズ(Kristi Curry Rogers)氏は、「死亡時にまだ成長を続けていたデータが、論文で提示されている。上には上があるものだね」と解説する。

◆ライフスタイルの解明に向けて

 サイズばかりが注目されているが、研究はまだ緒に就いたばかりだ。「どのように成長し、巨大なサイズに到達するまでどれほど時間がかかったのか? 今回のデータは、研究の糸口として申し分ない。2個体分の化石があれば、好調なスタートを切れる。しかし、彼らのライフスタイルを解明するには、さらに標本を手に入れる必要があるね」とカリー・ロジャーズ氏。

「筋肉の配置や動きなど、竜脚類はまだ解明されていない基本的な点がたくさんある」とラコバラ氏も同意する。骨化石に残る筋痕に注目する同氏のチームは、筋肉の構造や軟組織と運動との関わりを解明しようと取り組んでいる。

 今回の研究結果は、「Scientific Reports」誌オンライン版に9月4日付けで発表された。

PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK / EXCEL MAGAZINE / DREXEL

文=Brian Switek

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