米国、食事の質の格差が2倍に拡大

2014.09.02
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アメリカの低所得者にとって健康的な生鮮食品を手に入れるのは困難であると研究者らは言う。

Photograph by The' N. Pham / The Virginian-Pilot via Associate Press
 過去10年間で米国における低所得層の食事の質が悪化した一方で、富裕層の食事は改善しているという新たな研究報告が発表された。しかし、米国全体では依然として貧しい食事情にあるようだ。 2005年から2010年にかけて食事の質が平均的に改善されたものの、貧困層では悪化する傾向にあり、富裕層と貧困層で食事の質の格差が2倍に開く結果となった。

 研究者らは、便利で健康的な食品の価格が高くなったことや、貧困層が集まる地域に質の良いスパーマーケットが少ないことが原因であるとしている。

 研究の著者でハーバード公衆衛生大学院の肥満疫学および防止プログラムの共同ディレクター、フランク・フー(Frank Hu)氏は、「全体的に改善されたことは朗報だが、まだ健全な状態とは言えない」と話している。

 低所得層の健康促進を図る議員たちは、「補助的栄養支援プログラム(SNAP、フードスタンプとも呼ばれる)」を通して販売される食品の種類を制限することを提案している。また、ミシェル・オバマ大統領夫人は子供の肥満を減らすため、健康的な食習慣の促進をキャンペーンの中心に据えている。今日、全所得層の実に3分の2が体重超過あるいは肥満とされ、その割合は低所得者層になるほど高くなる。

 米国の食事情が改善された主な理由は、トランス脂肪酸の消費が着実に減少したことや、甘味料が入った飲料水の消費減少にあると研究者らは述べる。一方で、果物や野菜、全粒穀物などの消費は相変わらず少ない状況だ。

 昨秋、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、加工食品にトランス脂肪酸の使用を禁止する意向を発表した。加工食品の包装にトランス脂肪酸の有無を明確に表示する法律が定められてから実に10年後の動きである。また、果物や野菜、全粒穀物の消費を促す運動は、教育機関や公共サービスによる呼びかけに限られている。

「アメリカの食事情を変えるには、政策を変える必要がある」と、イェール大学のラッド食料政策・肥満対策センターの所長を務めるマーリーン・シュワルツ(Marlene Schwartz)氏は語る。

 食育と言っても、教育を受ける余裕がある人々にだけ有効であるため、「食料自体の品質を改善し、肥満を引き起こすような食べ物を提供しないことが重要である」と同氏は指摘する。

 全米で活動する非営利組織、クッキング・マターズ(Cooking Matters)で栄養管理と調理の指導をしているジェシカ・カウエット(Jessica Caouette)氏は、「すべての親は健康的な食事を家族に与えたいと思っていますが、低所得の家庭では食品の価格が優先されます」と話している。

 2012年にクッキング・マターの受講者を対象に調査したところ、彼らの85%が健康的な食事を望んでいるが、そのような食事が摂れている人はわずか半数であった。さらに、フードバンクの傘下組織であるフィーディング・アメリカ(Feeding America)が実施した調査では、利用者のおよそ80%が健康に良くないと知りながらも一番安い食料を購入していると答えた。

「食に関わる環境やシステムが変わらなければ、食育だけでは効果はありません」とフー氏は述べる。

 研究結果は、9月1日付で「Journal of the American Medical Association Internal Medicine」誌に掲載された。

Photograph by The' N. Pham / The Virginian-Pilot via Associate Press

文=Tracie McMillan

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