世界の発電所のCO2排出量を初算出

2014.08.28
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既存の化石燃料発電所は、今後世界の二酸化炭素排出量に大きく影響することが必至だが、新たな報告書の執筆者らによると、従来の気候モデルではこうした発電所からの排出量が計算に入れられていないという。写真はイギリスの石炭火力発電所。

Photograph by Jason Hawkes / National Geographic Creative
 カリフォルニア大学アーバイン校およびプリンストン大学の科学者らが発表した新たな研究結果によると、世界中に既存する発電所は、今後大気中に3000億トン以上の二酸化炭素を排出しようとしているが、現行の観測基準はしばしばこうした長期的な排出量を考慮に入れるのを怠っていると指摘する。 8月26日付け科学ジャーナル「Environmental Research Letters」に発表された研究は、世界中の発電所がその一生のうちに排出する二酸化炭素の量を複数年に渡って評価した初の報告書である。

 いまだかつてない急成長を続ける世界のエネルギー需要を満たすため、世界の電力セクターによる温暖化ガスの予想排出量、つまり現在稼働中の発電所がその一生のうちに排出する量は、1950年以来一度も減少したことがない。研究によると、これらの、いうなれば預託排出量は年に4%ずつ増加しており、2012年には3070億トンにまで達した。

 この研究が発表される数週間前、アメリカの環境保護庁(EPA)は初めて、既存の発電所からの二酸化炭素排出量を規制する案を発表、来年6月までに最終的な調整を行う予定だ。

 研究者らは、現行の国連による計算方法が、年間の二酸化炭素排出量を表にまとめただけのものであるとして、地球温暖化の影響についてより正確な図を描くなら、発電所が一生のうちに排出する量の予想も含めるべきだと指摘する。

「国際的な取り組みは、我々が毎年何を排出しているかにばかり焦点を当て、重要な点を見逃している」と、カリフォルニア大学アーバイン校の地球システム科学者で、報告書の共著者のスティーブン・デービス(Steven Davis)氏は述べている。

◆増え続ける化石燃料発電

 報告書は、国際的に石炭火力発電所への投資が増加傾向にあることを示唆している。西洋諸国では1980年代以降その建設は減少しているが、中国、インド、その他の開発途上国では増加している。

「二酸化炭素削減に世界的な努力がなされる中、実際にはその量は衝撃的な速さで増加している。発電所を建設すれば、40~50年は稼動するだろう。その間、大量の二酸化炭素が排出されることになる」。

◆不完全な計算方法

 報告書はさらに、地球温暖化防止への国際的な取り組みに暗い見通しを示し、気候変動に関する協定で取り決められている排出制限に合わて排出量を計算する方法に疑問を呈している。

 現在、国際目標として、産業革命以前と比較して地球の気温が2度以上上昇するのを防止する気候モデルが設定されており、報告書の執筆者らは、現在稼働中の発電所が一生のうちに排出する二酸化炭素の量が、その許容量の大部分を占めていることを発見した。

 例えば、各国には排出削減目標として、全ての排出源からの量を合わせた許容割当量があるが、中国およびアメリカにある既存の発電所からの排出量は、その割当量のうち中国で53%、アメリカで21%を占めている。

 この研究では、EPAの提案した二酸化炭素排出削減規制は考慮に入れられていない。デービス氏は、この規制が報告書の中で予測している発電所の一生の間の排出量にわずかな影響しか与えないだろうと見ている。アメリカの発電所の平均年齢は36年である。報告書の中では発電所の耐用年数を40年と見積もっており、新たな規制案がこの研究で考慮された排出量へ影響を与えるには時間がなさ過ぎるのだ。

 現在、預託排出量は急速に増加しているが、デービス氏は必ずしも確定したものではないとしている。発電所が二酸化炭素を取り込む技術を導入するか、発電所自体が早期にリタイアすれば、排出量は減少できる。しかし、デービス氏はその可能性は低いと見ている。

Photograph by Jason Hawkes / National Geographic Creative

文=Joe Eaton

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