オオカミもあくびがうつる

2014.08.28
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ドイツ、バイエリッシャー・バルト国立公園(Bayerischer Wald National Park)のオオカミ。

Photograph by Norbert Rosing / National Geographic Creative
 東京郊外の多摩動物公園でオオカミの群れを観察した結果、オオカミの間でもあくびがうつることがわかった。しかも、一緒に過ごした時間が長いほど、あくびがうつりやすいようだ。この現象がオオカミで確認されたのは今回が初めてだという。 なぜわれわれはあくびをするのか。科学者たちが何世紀も頭を悩ませてきた疑問だ。疲れているときの方があくびをしやすい傾向はあるが、そうでないときにあくびが出ることも多々ある。あくびをすると外気が取り込まれ、体内の温度が下がるため、脳を冷やす効果があるという研究結果もある。警戒を怠らないための行為だという説もあり、飛行機から飛び降りるなど、緊張を強いられる行為の直前にあくびをする人がいるのはそのためかもしれない。

 しかし、これらの説ではあくびの興味深い一面を全く説明できない。誰かがあくびしているところを見ると、自分もあくびする確率が高まることだ。東京大学の生物学者テレサ・ロメロ(Teresa Romero)氏によれば、あくびの伝染は共感と関連しているというのが有力な仮説だという。つまり、誰かが疲れている姿を見ると、その相手に共感する人や動物も疲れを感じるということだ。

 これまであくびの伝染は人やチンパンジーなどの霊長類に特有の現象だと考えられてきた。飼い犬でも同様の現象が起きる証拠を探した研究者はいるが、結果はさまざまだった。1匹があくびをすれば別の犬もあくびをすると証明したように思える研究結果もあれば、関連性を見つけることができなかった研究結果もある。

 ロメロ氏は犬とオオカミの思考の違いに関心があったため、オオカミの間であくびがうつるかどうかを調べれば、2つの種の違いをもっと理解できるかもしれないと考えた。

 そこで、多摩動物公園に暮らすオオカミ12匹を5カ月、524時間にわたって観察することにした。多摩動物公園は自然に近い環境で知られる。ロメロ氏らは1匹のオオカミが自発的にあくびをするたび、あくびを見た周囲のオオカミの反応を記録した。仲間のあくびを見ていない場面であくびする頻度も調べた。

 その結果、ほかのオオカミのあくびを見た後にあくびする頻度の方がはるかに高いことがわかった。その割合は50%を占めていた。仲間のあくびを見ていないのにあくびしたのはわずか12%だった。

 また、社会的なつながりが強いオオカミ同士の方があくびもうつりやすいことがわかった。

 この研究結果は27日付で「PLOS ONE」誌に掲載されている。

Photograph by Norbert Rosing / National Geographic Creative

文=Carrie Arnold

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