米西部で地震~断層の動き方を知る

2014.08.26
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サンアンドレアス断層付近の岩石圏と地殻の断面図。

Illustration by De Agostini/Getty Images
 アメリカ、カリフォルニア州の8月24日未明、サンフランシスコの北方、ナパバレー付近を震源とした地震が発生した。ワインの名産地、ナパバレーでは古い建物の倒壊や火災が相次ぎ、多数の負傷者が出た。震源の深さは10キロ、マグニチュードは6.0と推定される。カリフォルニア州には巨大地震の巣として有名なサンアンドレアス断層が走っているが、24日の地震もその断層から分岐した断層群の周辺で発生している。他の環太平洋地域同様、海洋プレートと大陸プレートがぶつかり合うカリフォルニア州北部は、断層が非常に多く、地震の多発地帯となっている。 今回の地震では、サンフランシスコからサクラメントにかけての範囲で揺れを観測。1989年に発生したマグニチュード6.9のロマ・プリータ地震以来、カリフォルニア州北部では最大級の地震となった。

 すべて地下深くの断層で発生する地震だが、個々の揺れを引き起こした断層線の活動がどのようなタイプに属するか、専門家でも特定は困難だ。ナパバレーを襲った地震も同様で、およそ160万年にわたって活動がないと考えられてきたフランクリン断層(Franklin Fault)が引き金を引いたという説が一部で指摘されている段階だ。

 地球の地殻は、いくつもの大陸プレートと海洋プレートがジグソーパズルのように組み合わさって形成されている。マントルの動きに乗った各プレート同士は絶えず、互いに押し合う、すれ違う、遠ざかるなど相対運動をしている。例えば、太平洋を取り囲む環太平洋火山帯では、海洋プレートがアジア大陸およびアメリカ大陸の下に沈み込んでおり、山脈形成や火山活動、地震発生の源となっている。

 地震の多くは、境界同士の間の断層帯に沿って発生する。プレートが徐々に押し曲げられ、やがて耐えきれなくなって跳ね返る時点で、断層に沿ってエネルギーが解放され地震となる。断層を境にした動きは、以下に示すいくつかのタイプに分類することができる。

◆横ずれ

 地殻の一部分に水平方向のずれが生じた場所を、横ずれ断層と呼ぶ。

 よく知られているのが、カリフォルニア州南部からサンフランシスコの北側にかけて伸びるサンアンドレアス断層で、全長はおよそ1000キロにおよぶ。サンフランシスコの街を壊滅させ、カリフォルニア州北部が地震の多発地域であることを印象付けた1906年の大地震(サンフランシスコ地震)は、この断層に沿って発生した。

 断層から枝分かれした断層群が水平方向に動く原因は、北アメリカ大陸プレートの下で太平洋の地殻プレートが北西方向に移動しているためと考えられている。

 同様に、フランクリン断層をはじめとするナパ・バレーの全長35キロにおよぶ断層群も、横ずれ断層の特徴として、北から北西にかけて水平移動する傾向が見られる。

◆縦ずれ

 地震の際、垂直方向にずれが生じる場所を縦ずれ断層と呼ぶ。断層帯の上側の地盤が滑り落ちた場合を正断層、乗り上げた場合を逆断層と言う。正断層は、深い側の地盤(下盤)が浅い側の地盤(上盤)から引き離される場合に起こり、逆断層はその逆の場合だ。

 ユタ州とアイダホ州の地下を走る、全長およそ150キロのワサッチ断層(Wasatch Fault)は正断層の1つ。北アメリカ大陸西部の下に太平洋プレートが沈み込んでおり、550年前に発生したマグニチュード7.0の地震では、断層の片側にある地盤がおよそ1メートル滑り落ちたと推定されている。アメリカ地質調査所(USGS)は今後、マグニチュード7.0クラスの地震が発生する危険性を指摘している。

◆斜めすべり

 水平方向と垂直方向のずれが同時に発生すると、斜めすべり断層となる。サンフランシスコの南に位置するサンタクララ・バレー(Santa Clara Valley)には、1999年の地震で斜めすべりが観測された断層が存在している。

◆人為的誘発

 小規模な地震であれば、人為的に発生させる方法が知られている。

 廃棄物を処理するための深い井戸(投棄井)で、廃水を断層にポンプで注入すると、地盤に震動を引き起こすことができる。ここ数年の間に、オクラホマやテキサス、オハイオの各州でこれが原因と見られる地震が観測されている。

 もっとも、現実的で可能な地震対策があるとすれば、多くの場合は事前に備えることしかない。

 USGSの報告によると、直撃を受けたナパ・バレーでは、過去にマグニチュード6.0以上の地震が発生したという記録はない。しかし同地では普段から周辺断層の分布を把握し、それを基に全域の建築基準法を見直していたという。負傷者の数が極端に多くなかった要因は、周到な備えにあったと言えるだろう。

Illustration by De Agostini/Getty Images

文=Dan Vergano

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