ヘビの木登りは「安全第一」

2014.08.26
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
木の幹を這うボアコンストリクター。

Photograph by Pete Oxford/Minden Pictures/Corbis
 ヘビは木に登るときに「安全第一」を心がけていることが、「Biology Letters」誌に発表された新研究でわかった。 この研究で、ヘビは木から滑り落ちずにいるために必要な力よりも、はるかに大きな力で木につかまっていることが明らかになった。ヘビは、すばやく木に登ることよりも、滑り落ちるリスクを減らすことを優先させているためではないかと研究者らはみている。

 ニューヨーク州にあるシエナ大学の爬虫両生類学者で、今回の論文の筆頭著者であるグレッグ・バーンズ(Greg Byrnes)氏は、ヘビが木に登ることやその大まかな方法は知られているものの、木に登るのにどのくらいの力を使うのか、また力の使い方をどう決めるのかについては誰も正確に知らないことに気がつき、この意外な事実を発見した。

「ヘビにとって、安全に木に登ることは効率良く登ることよりも、ずっと重要だ」とバーンズ氏は述べる。

 木に登るのには多くのエネルギーが必要だが、ヘビにとって捕食者から身を守り、餌となる生き物を捕まえることができるというメリットがある。

 動物がどのように木に登るかは、その動物の体のつくりによる。例えばネコは、登りやすくなるように爪で木を掴む。人間は落ちないように筋力を使う。ヘビには手足がないが、体を木の幹にしっかりと巻き付けることで木に登るのに必要な力を生み出す。

 シンシナティ大学のバーンズ氏と同僚のブルース・ジェイン(Bruce Jayne)氏は、木の幹を模した長さ240センチの円筒を作り、ヘビが幹につかまる力を測定した。円筒の様々な場所に圧力センサーを取り付け、布テープを巻き付けて、5種類のヘビがこの円筒を登る様子を撮影した。タニンバーニシキヘビ(Morelia nauta)などそのうちの何種かは一生のほとんどを樹上で過ごす。ボアコンストリクター(Boa constrictor)などは幼体のうちは多くの時間を樹上で過ごし捕食者から身を隠すが、成長体すると地上に降りる。

 ヘビのからだは長く細いため、木の幹に似せて作った円筒の回りに均等に体を巻き付けたり、体の大部分を同じ高さに巻いたり、いろいろな向きに巻き付くことができたが、どのヘビも滑り落ちないために必要な力よりもずっと大きな力を使って木につかまっていることが判明した。必要な力の3倍近くの力を使うこともあった。

 バーンズ氏は、ヘビは必要以上の力を使ってしっかりとつかまることで、滑り落ちるリスクを減らせると考えている。これは、落ちて怪我をしないようにというよりも、むしろ捕食者に捉えられるリスクを最小にするためだという。

「10メートルの高さから落ちても、ヘビが怪我をすることはまずないが、地面に落ちると捕食者に捕まる危険が大きくなる。いったん落ちた木をまた登るのなら、最初から落ちないように気をつける方がエネルギー効率がよい」と同氏は説明した。

Photograph by Pete Oxford/Minden Pictures/Corbis

文=Carrie Arnold

  • このエントリーをはてなブックマークに追加