クジラやイルカは“歓声”を上げる?

2014.08.15
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叫び声を上げるハンドウイルカ。

Photograph by Frans Lanting / National Geographic Creative
 シロイルカやハンドウイルカは、嬉しいと子どものように歓声を上げることを示唆する研究結果が初めて発表された。 クジラやイルカは獲物を追いかけるとき、周囲を探知するために声を出すことがあるが、それとは別のキイキイという鳴き声は、最も賢い動物に属するとされる海洋哺乳類とヒトの新たな共通点である可能性がある。

 科学者らは長い間、飼育下の海洋哺乳類が餌を与えられると変わった声を上げることに気づいていた。同じような声は野生の個体でも観察されている。

 今月13日、「Journal of Experimental Biology」誌に発表された新しい研究結果は、シロイルカとハンドウイルカが声を上げて喜びを表現することを示唆するものだ。

 ハワイ大学で海洋哺乳類プログラムの責任者を務めるポール・ナハティガル(Paul Nachtigall)氏は今回の研究には参加していないが、同氏が訓練したイルカの中にも同様の声を発する個体が見られたと述べている。

「1分に1回ほどの頻度で餌を与えられるだけなのに、レバーを押すたびにキイという小さな声を上げるイルカがいた。そのイルカは自分が知らないうちにそのように訓練されたのだろうと考えていたが、今回の研究で別の説明がつくかもしれない」。

◆勝利の雄叫び

 サンディエゴの国立海洋哺乳類財団のサム・リッジウェイ(Sam Ridgway)氏率いるこの研究チームは、飼育下のハンドウイルカとシロイルカに魚を1匹ずつ褒美に与え、様々なタスクをするように訓練した。イルカは魚に近づくときに声を上げ、魚を捕まえた後もしばらく鳴き続けることがわかった。

 チームはこの威勢のいい鳴き声を「勝利の雄叫び(victory squeal)」と名付け、これは魚の場所を探知するときに上げる声とは違うものだと結論づけた。

 チームは、イルカに魚を与えるときにホイッスルを吹いて合図した。しばらくその合図に慣らした後、今度は魚を与える前にホイッスルを吹くようにしたところ、シロイルカとハンドウイルカはホイッスルが鳴ると魚を得る前に鳴き声を上げた。これは、イルカが褒美を期待していることを強く示唆するものであるという。

 シロイルカとハンドウイルカがホイッスルの合図に反応して勝利の声を上げるまでに要する時間と、他の音に反応して一般的な鳴き声を発するまでの時間を比較したところ、ホイッスルへの反応までの時間の方が長いことがわかった。

 ホイッスルを聞いてから鳴き声を出すまでにかかる151ミリ秒という時間は、脳内化学物質であるドーパミンが放出されるのにかかる時間の範囲内にある。このことは、報酬を期待するように訓練されたヒトを含めた陸上哺乳類でも観察されている。

 ドーパミンは脳内の神経細胞間で情報を伝達する物質で、ヒトが喜びや幸せを感じるのに重要な役割を果たす。

 イルカは脳内でドーパミンが放出されると勝利の雄叫びを上げるのではないかと研究は結論づけている。

◆結論は慎重に

 カリフォルニア州マリーナ・デル・レイの海洋保護協会会長で海洋哺乳類研究者のマダレーナ・ベアジー(Maddalena Bearzi)氏は、研究結果の解釈は慎重にすべきだと注意を促している。

 ハンドウイルカとシロイルカの鳴き声が喜びを表すものである可能性はもちろんあるが、他の可能性を排除するだけの十分なデータがないと同氏は指摘する。 「感情は我々人間においても定義が難しい。ましてやイルカではなおさらだ」。

Photograph by Frans Lanting / National Geographic Creative

文=Jane J. Lee

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