外へ出たネコはどこへ行くのか?

2014.08.08
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
GPS装置を首に付けられたネコ。ドアを開けてくれるのを待っている。

Image captured from video by Eileen Mignoni / National Geographic
 外へ出掛けたネコがどこへ行くのか、気になったことはないだろうか。 不特定多数の人々を募る新たなマッピングプロジェクト「キャット・トラッカー」が、ネコの飼い主たちに参加を呼び掛けている。飼いネコにGPS付きの首輪を着けて行き先と活動を監視し、ネコが家の近所をぶらついたり、あるいは遠出したりする様子を調べるというものだ。

 専門家は、得られたデータはネコの行動について新たな知見をもたらすだけでなく、ネコが捕食している野生生物の保護活動にも役立つだろうと話している。

 飼いネコは実に怠惰で、眠ったり寝そべったりしているだけで時間の90%以上を使っている。それでも、外に出されて網戸を閉められれば、うろうろと散策を始める。

「キャット・トラッカー」プロジェクトは、米国、ニュージーランド、オーストラリアに住む人なら誰でも参加できる点で他の動物追跡調査とは異なる。飼い主に必要なのはGPS装置一式を購入またはレンタルし、装置をネコの体に着けるハーネスを作ることだけだ。方法は「キャット・トラッカー」のウェブサイトで解説されている。

 7日後、飼い主はウェブサイト上の説明通りに追跡データをダウンロードし、案内に従って操作していくと、ネコのたどった経路が放射状の線に変換され、衛星地図上に表示される。

「キャット・トラッカー」の運営チームは、身近にある生物多様性を研究する研究者・学生らの団体「ユア・ワイルド・ライフ」と、ノースカロライナ自然科学博物館のメンバーから成り、動物の行動データを保管しているオンラインデータベース「ムーブバンク」の協力を得ている。チームが収集したネコの移動地図は現在約50匹分。プロジェクトの終了までに最低でも1000匹分集めるのが目標だ。

◆ネコの追跡から分かること

 今回のデータは研究者にとって、ネコが環境に及ぼす影響を解明する助けとなるかもしれない。

 例えば米国では、「環境保護活動家たちがネコの行動範囲について懸念している。ネコは地域固有の鳥や哺乳類を多く殺すと言われているからだ」と話すのは、プロジェクトリーダーの一人で、ローリーにあるノースカロライナ州立大学(NCSU)生物多様性・地球観察研究室ラボ(Biodiversity and Earth Observation Lab)のローランド・ケイズ(Roland Kays)氏だ。

「米国内のネコの数は実に多い。飼いネコは9500万匹、加えて野良ネコは数百万匹にも上るため、他の野生動物の個体数に害を及ぼしているかもしれない」とケイズ氏。「だが、ネコが都市部で狩りをしているのか、自然保護区にまで足を踏み入れているのかによって大きく異なる」。

 バージニア州ウィリアムズバーグ、ウィリアム・アンド・メアリー大学の人類学者でネコの行動に詳しく、今回のプロジェクトには関わっていないバーバラ・キング(Barbara King)氏は、「キャット・トラッカー」は重大な謎を解く優れた方法だと評価する。というのも、ネコの捕食に関しては数のそろった信頼できるデータが「待ち望まれている」からだ。

 そしてキング氏の言う通り、「ネコがどれくらい移動してどこへ行くのかが分かると思うと、単純に興味を覚える」のは間違いない。

 また、プロジェクトの一員であるノースカロライナ州の獣医スザンヌ・ケネディ・ストスコフ(Suzanne Kennedy-Stoskopf)氏は、ネコの追跡調査により、彼らの「外での食事」と疾患や寄生虫との関係が解明できるかもしれないと期待している。

◆飼い主も興味津々

 一方、ネコの飼い主にも純粋に知りたいことがある。ネコは飼い主に内緒で、可愛がってくれる「別宅」をよそに作っているのかという疑問だ。

 今のところ、「キャット・トラッカー」で追跡されたネコはそれほど広い範囲を移動してはいない。最も長い旅をしていたのはナターシャという飼い主のネコで、1.3キロ歩いていた。だがプロジェクトはまだ始まったばかりであり、ネコの行動に関する数多くの謎が解き明かされるのはこれからだ。

Image captured from video by Eileen Mignoni / National Geographic

文=Jane J. Lee

  • このエントリーをはてなブックマークに追加