深海の発光ザメが暗闇の中で見るものは

2014.08.08
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この小さなサメを含む深海ザメ5種は、暗闇でものを見るのに特化した眼を持っている。

Photograph by Dr. Jerome Mallefet / FNRS / UCL
 深海ザメは驚くほどよく適応した眼を使って暗闇の中を見ていることが、最近の研究で明らかになった。 眼の上の皮膚は部分的に透明になっていて、網膜上には感光細胞が特徴的な配列で並んでいる。とりわけこれらの特徴によって、生物発光する5種の深海ザメは暗い海の底でできるだけ多くの光を集中させ、餌を捕ったり互いを認識したりすることができる。

 今回の発見は、サメは匂いに強く頼って泳ぎ回るという長らく支持されてきた見方を覆すものだ。

「これまで、サメの視力はとても悪いと考えられてきた」と語るのは、カナダ、オンタリオ州キングストンにあるクイーンズ大学の感覚生態学者トム・リズニー(Tom Lisney)氏だ。今回の研究には関わっていない。

 しかしごく最近になって、どうもそうではなさそうだということが研究で示されるようになった。

◆光る模様

 深海ザメの網膜、つまり眼の後にある感光層の細胞の分布について、リズニー氏は指摘している。

 例えばカラスザメ科のフジクジラ(学名:Etmopterus lucifer)は、その側面から光る点が下方に走る特別な模様を持っている。この模様はフジクジラだけに見られるもので、これによって互いを見つけることができる。

 この模様が発する光を感知する細胞は、網膜を横切る線に集中しているが、これがフジクジラの模様を見つける能力を高めている。

「彼らの眼は、模様の両端を同時に見ることができる設計になっている」と話すのは、ベルギー、ルーバンカトリック大学のサメ学者ジュリアン・クラース(Julien Claes)氏だ。彼は、同じカラスザメの仲間でフジクジラの網膜に走る特異なパターンを持たない近縁種も調査している。

「これは、側面の模様が視覚コミュニケーションツールとして使用されていることを支持するものだ」と、今回の研究の筆頭著者であるクラース氏は語る。

◆深海における隠蔽擬態

 さらに面白い発見のひとつは、調査された5種のサメ全種の眼の上に見つかった透明な部分だと、米ノースカロライナ州ダーラムにあるデューク大学の海洋生物学者クリスティン・バドーリ(Christine Bedore)氏は述べている。

 これがサメの上方の視野を広げることを可能にしているのではないかと、彼女は推測する。自身の上方を泳いでいる同種他個体を見つけるのに役立つのだろうと、バドーリ氏は語っている。なお、彼女も今回の研究には関わっていない。

 また研究の著者らは、今のところこの5種のみで見つかっているこの透明な部分は、暗闇に差し込む光の種類と量を測定するのに役立ち、彼らが出す光をそれに合わせて調節することを可能にしているのではないかとも推測している。

 このような隠蔽擬態はカウンターイルミネーションと呼ばれ、下から見た時に動物が暗いシルエットとして目立ってしまうことを防ぐものだ。

 今回の研究は8月6日、「PLOS ONE」誌で公表された。

Photograph by Dr. Jerome Mallefet / FNRS / UCL

文=Jane J. Lee

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