エクアドル、ルナ族と熱帯雨林の繋がり

2014.08.08
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エドアルド・コーン氏は新著『How Forests Think(森はどのように考えるか)』の中で、環境問題の原因の一部は人々がエコロジー(生態系)から切り離されてしまったことだと語る。

Photograph courtesy of University of California Press
 森は思考するか? 犬は予知夢を見るか? 自然は権利を持つか? モントリオールの文化人類学者エドアルド・コーン(Eduardo Kohn)氏は、新しい著書の中で示唆に富む問いかけをしている。◆コーンさんの本には、タイトルの「How Forests Think(森はどのように考えるか)」を初めとして、不思議なパラドックスがたくさん出て来ます。森が思考をするとはどういうことですか?

 現在の環境問題は、われわれ人間が世界から次第に切り離されて行っていることが大きな原因です。著書の中で、人間と生物世界との繋がりを示したいと思いました。

◆「人間を超えた人類学(Anthropology Beyond the Human)」とはどういうことですか?

 人類学には二つの特色があります。一つは文化や言語など、人間だけが持っている資質に注目することです。

 もう一つはエスノグラフィー(民族誌)という研究手法です。これは、多くの時間をその土地の人々と共に過ごし、その社会に参加しながら観察することを意味します。

 ルナ族は熱帯雨林と密接な生活をしています。彼らと生活することは、彼らが共に生きる他の生物と生きることでもあると気づいたのです。

◆ルナ族はどんな生活をしているのですか?

 ルナ族は、エクアドルのアンデス山脈の東に住んでいます。

 私がフィールドワークをした場所では、人々は都市から遠く離れて生活しています。道路もなく、食糧は森で採集したものか、庭で栽培したものだけです。彼らは何世代にもわたって熱帯雨林と密接な生活をしているので、森のあらゆる複雑な生物学的プロセスについて、深い知識を持っています。

◆ルナ族の人々は現実世界とスピリチュアルな世界を自由に行き来するようですね。「ルナ・プマ」とは何ですか?

 ルナ族の人々はシャーマニズムを信仰し、幻覚を起こす薬草を使用します。ルナ(Runa)とはキクワ語で「人」を意味し、プマ(Puma)とはジャガーを意味します。ルナ族の人々は、人が白いジャガーに変身すると考えているのです。

◆エクアドルは憲法で自然の権利を法制化した最初の国ですが、他の国もこれに倣うとお考えですか?

 エクアドルの特殊な点は、多くの先住民族が生活しているということです。90年代の初めに民族意識が高まり、先住民族による政党が結成されました。エクアドルの憲法は、ルナ族やその他の先住民族の世界観、そして人間と世界との繋がりを法的に認識しようという試みとなりました。

 エクアドルは、「思考する森」のような概念をグローバルレベルに広げるための扉を開けたと言えます。神経学者オリバー・サックス(Oliver Sacks)氏など、このような考え方に関心を持つ人も多いです。これは環境危機に対する一つの反応ではないでしょうか。

◆ルナ族は犬との結びつきが強いようですね。犬の夢を解釈するとはどういうことですか?

 犬と人間はとても似ています。ルナ族の人々は犬が何を見ているかにとても興味を持ち、犬がしていることを理解するために犬とコミュニケーションを取ろうとします。夢の解釈は、人の夢の解釈と同様にルナ族が使う手段で、犬に幻覚を起こす薬草を与えることもあります。

◆ルナ族との生活によって何か変わりましたか?

 彼らと過ごした数年は、私の人生における最も素晴らしい時間でした。シュロ葺き屋根の小屋で彼らと一緒に竹の床に寝、ちょっとキャンプのようでした。電気も水道もなく、体重も随分落ちましたが、普段よりもずっと健康に感じました。日が沈むと床に着き、起きなければならないときに起きる。自分の体内のリズムを生態系のリズムに合わせることができました。

 都市生活とは違ったライフスタイルを経験し、自分自身の生活の中に取り入れることができました。今、カナダに山小屋を持ち、子ども達を森へ連れて行っています。こういう生活は、一度味わったら、もう失いたくないですね。

Photograph courtesy of University of California Press

文=Simon Worrall

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