コウテイペンギンのコロニーの存在を示す茶色の染み。南極のケープ・コルベック(Cape Colbeck)を撮影した2010年の衛星画像。

SATELLITE PHOTOGRAPH COURTESY DIGITALGLOBE INC.
 かつてプレーリーをうろつくバッファローや熱帯雨林を飛び回るサルの数を知るには、現地を歩いて数えるしかなかった。 しかし、衛星画像の進歩のおかげで、今では毒ヘビにかまれたり、つま先を凍えさせたりすることなく、いくつかの種の個体数を推測できるようになった。

 ミネソタ大学セントポール校の博士課程を修了した研究者セス・ステープルトン(Seth Stapleton)氏は7月、「PLOS ONE」に論文を発表し、遠く離れたホッキョクグマを特定する新たな手法を紹介した。Google Earthの画像を提供している人工衛星も駆使する。

 氷に覆われた地で白いクマを見つけるため、ステープルトン氏らは捜索範囲を暗い島に限定した。夏の終わりになると周囲の氷が解け、クマたちはそうした島によく取り残される。

 ステープルトン氏らは衛星画像から100頭近くのホッキョクグマを特定することに成功した。さらに、ヘリコプターで空中から調査し、(岩や泡でなく)本当にクマであることを確認した。

 衛星画像で特定できる動物はほかにもいる。

◆コウテイペンギン

 コウテイペンギンは地球上で最も大きいペンギンかもしれないが、宇宙から特定できる理由はそれだけではない。コウテイペンギンのコロニーの最も顕著な証拠は、ペンギンたちが氷上に残すもの、つまり排泄(はいせつ)物だ。

 イギリス南極調査所(British Antarctic Survey)の研究者ピーター・フレットウェル(Peter Fretwell)氏は、「新雪に付いた茶色の染みはよく目立つ」と話す。

 ランドサット(Landsat)がとらえた南極の衛星画像から、フレットウェル氏らは“排泄物の染み”をコロニーの手掛かりとして利用できることに気付いた。茶色の染みを見つけたら人工衛星の焦点を絞り、個体数を直接数えるか、身を寄せ合うペンギンの数から個体数を推測できる。

 こうして衛星画像を見るだけで、既知のコロニーの数が2倍近くまで増えた。

◆コウモリや鳥、ウミガメも

 衛星画像を利用して個体を特定することが目的であれば、比較的大きな動物しか対象にできない。

 しかし、国際宇宙ステーション(ISS)でのICARUS(宇宙からの動物研究のための国際協力)プロジェクトが始動すれば、より小さな動物を追跡できるようになるだろう。

 ほとんどのGPSタグは位置情報を記録できるが、その情報を人工衛星に送信することはできない。つまり、記録された情報を得るには、タグを付けられた動物を捕獲するしかないということだ。

 しかし、ICARUSのハードウェアが実装されれば、ISSに情報を送信できる高度なGPSタグを使用できるようになる。

 ICARUSプロジェクトの目的は鳥やコウモリ、ウミガメ、齧歯(げっし)類を追跡し、生態系の理解や航空安全性の向上、危機にさらされている種の追跡、伝染病の監視などに役立てることだ。

 そして、送信機はどんどん小型化している。近い将来、裏庭に立ち寄ったオオカバマダラを高度320キロ以上の空から監視できるようになるかもしれない。

SATELLITE PHOTOGRAPH COURTESY DIGITALGLOBE INC.

文=Jason Bittel