すべての恐竜に羽毛があった可能性

2014.07.28
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新たに見つかった羽毛のある恐竜クリンダドロメウス・ザバイカリクスの想像図。

ILLUSTRATION BY ANDREY ATUCHIN
 ほぼすべての恐竜に羽毛があった可能性を示す二足歩行の恐竜の化石が、シベリアの約1億6000万年前の地層から発掘された。 この20年の間に、中国で羽毛のある恐竜が少なくとも5種見つかっている。しかし、どれも現生鳥類の祖先にあたる“猛禽型”の獣脚竜だった。

 ところが、「Science」誌7月25日号に掲載された国際的な研究チームの論文によると、クリンダドロメウス・ザバイカリクス(Kulindadromeus zabaikalicus)と名付けられた新種の発見により、すべての恐竜に羽毛があった可能性が出てきた。この新種は二足歩行でくちばしのある全長1.5メートルほどの“鳥盤類”恐竜で、これまでに見つかっている獣脚竜とは異なる分類に属する。

 今回の研究の筆頭著者で、ブリュッセルにあるベルギー王立自然史博物館のパスカル・ゴドフロワ(Pascal Godefroit)氏は、「すべての恐竜の共通祖先に羽毛があったと考えられる」と話す。

 この発見により、羽毛が生えていたと考えられる恐竜の種類は大幅に増え、初期の爬虫類の体を覆っていたウロコが(おそらくは断熱のために)羽毛へと進化した可能性が出てきた。

 羽毛はどのような役割を果たしていたのか?ゴドフロワ氏はこの問いに対し、「はっきりしたことは誰にもわからないが、恐竜が飛べなかったことだけは確かだ」と話す。

◆ジュラ紀を垣間見る

 ジュラ紀に存在したクリンダドロメウスは、現在のシベリア、クリンダ川が流れている地域付近に生息していた。足と肘には房状、背中には流線を描くように羽毛が生えていた。また、向こうずねにはこれまで見られたことのない“リボン状”の羽毛もあった。

 かつては湖底だったが、現在はシベリアの山腹に位置する化石層からは、少なくとも6個の頭蓋骨と数百個の骨格が発掘されている。ほとんどが子どもの化石であったため、大規模な災害で命を落としたのではないとゴドフロワ氏は見ている。

「以前ここには湖とたくさんの火山があった」とゴドフロワ氏。草食のクリンダドロメウスは死んで湖に落ち、直後の噴火によって細かい灰に覆われた。これにより、化石骨と共に羽毛の痕跡が保存されたのだという。

◆共通点は羽毛

 論文によると、クリンダドロメウスのウロコは一部の鳥類に見られるウロコ状の皮膚と似ており、こちらも恐竜と鳥類を結びつける遺伝的ルーツの存在を示唆している。

 恐竜が羽毛に似た堅い毛で覆われていたことをうかがわせる鳥盤類恐竜の化石は、これまで中国で二度発見されている。こう指摘するのは、英エジンバラ大学の古生物学者スティーブン・ブルサット(Stephen Brusatte)氏。

「ところが今回シベリアで見つかった化石は、鳥盤類の(くちばしのある)恐竜の一部に羽毛があったことを最もよく示すものであり、柔らかい羽毛が獣脚竜以外にも生えていたことがはっきりした」とブルサット氏は言う。

「つまり、羽毛は鳥類とその近縁にあたる生物が初めて持つようになったものではなく、恐竜の歴史のはるか深いところで発達したものだということ。恐竜の共通祖先には羽毛があり、あらゆる恐竜が何らかの羽毛を持っていたのではないか。すべての哺乳類に何らかの毛が生えているのと同じだ」。

 とはいえ、最大級の恐竜は断熱のための羽毛を必要としなかったため、生えている量が一番少なかったはずだとゴドフロワ氏は言う。「アフリカのゾウが毛を必要としないようにね」。

ILLUSTRATION BY ANDREY ATUCHIN

文=Dan Vergano

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