密漁の取締りに無人機を活用

2014.07.22
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カリブ海に浮かぶのベリーズの小島で、ドローンの試験飛行を準備するスタッフ(下)と、上空のドローンからの画像(写っているボートは密漁船ではない)。

Images captured from video by Belize Fisheries Dept. and Wildlife Conservation Society
 アクアマリン色の海でさまざまな生物が暮らすベリーズのサンゴ礁、グローバーズ・リーフ(Glovers Reef)はダイビングスポットとして人気が高い。しかし近い将来、ドローン(無人航空機)が音を立てながら美しい青空を飛び回ることになるかもしれない。一帯の悩みの種となっている密漁に対抗するためだ。 世界で流通している魚介類の推定20%が期間や区域、漁獲量、漁具の規制を破り、違法に捕獲されている。そうした魚介類は世界中の市場で売られ、購入者のほとんどは密漁された商品であることさえ気づいていない。

 ベリーズは特に問題が深刻だ。アメリカに拠点を置く野生生物保護学会(Wildlife Conservation Society)の一員としてベリーズで漁業コーディネーターを務めるジュリオ・マーズ(Julio Maaz)氏によれば、この数年で数百件の密猟が報告されているという。

 欧州連合(EU)は3月、ベリーズとカンボジア、ギニアからの魚介類の輸入を全面的に停止した。領海内での密漁や自国の船による違法操業に十分な対策を講じていないことが理由だ。

 ベリーズは海岸線386キロがカリブ海に面し、200以上の島を擁するにもかかわらず、漁業取り締まりの権限を持つ職員は70人しかいない。その結果、違法な漁をしても逃げ切ることができるとマーズ氏は指摘する。

 しかし現在、こうした密漁との戦いに新たな武器が投入されようとしている。それはドローン(無人航空機)だ。

◆進化したドローン

 野生生物保護学会は6月2日、アメリカの非営利団体(NPO)コンサベーション・ドローンズ(Conservation Drones)、ベリーズの漁業当局と共同で1つの試験的なプロジェクトを開始した。最初の試験はベリーズ本土で行っているが、近い将来グローバーズ・リーフなどの島々も対象にしたいと考えている。

 最終的には、無許可の漁船や区域、漁獲量の規制に従わない漁船をドローンで見つけ出し、法の執行能力を高めたいとマーズ氏は話す。

 ナショナル ジオグラフィックのエマージング探検家で、自身もカリフォルニア州の沿岸でドローンの試験を行っているシャー・セルべ(Shah Selbe)氏によれば、ドローンはわずか数年で大きな進歩を遂げているという。かつては“アフガニスタンやイラクでの戦争に使用されている大きく恐ろしいもの”というイメージだったが、今では愛好者が操縦できる小型のドローンが比較的手ごろな価格で出回っているとセルベ氏は説明する。

 ハリケーンや火山、野生動物の個体数、山火事の調査など、すでに民間でさまざまな用途に活用されている。

◆ドローンの役割は?

 マーズ氏によれば、漁業の監視にUAVを使用する利点の一つは“驚きを与えられること”だという。UAVはとても小さく、動きが速いため、接近しても気付かれにくい。 ベリーズでの試験に使われているドローンは翼長190センチ、全長130センチの固定翼機だ。

 漁業当局の準備が整い次第、密漁が最も盛んとされている区域にドローンを送り込む予定だ。証拠となる映像を撮り、逮捕に持ち込むことが目的だが、ドローンのうわさが抑止力にもなることをマーズ氏は期待している。

Images captured from video by Belize Fisheries Dept. and Wildlife Conservation Society

文=Brian Clark Howard

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