観賞魚はどこから来るのか?

2014.07.22
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観賞魚取引用にインドネシアで捕まえられたプテラポゴン・カウデルニィー(左)とクマノミ(右)を持ち上げる男性。

PHOTOGRAPH BY NICOLAS CEGALERBA. BIOSPHOTO/CORBIS
 海水水槽の中を色鮮やかな魚が泳ぎ回る姿を眺めていると、ゆったりとした気分になる。だが、魚はどこで捕獲されたものなのか? 持続可能な漁法で行われたのか? その答えを明らかにするのは容易ではない。 観賞魚取引は世界規模の産業であるにもかかわらず、売買を追跡する集中データベースや、取り締まりを担う管理機関は設置されていない。フィリピンやスリランカ、フロリダなどで採集や輸出を行う業者は、この数百万ドル規模のビジネスに年間何千万匹もの海洋生物を供給しているが、監視はほとんど行われていない。

 ボストンにあるニューイングランド水族館とロードアイランド州ブリストルにあるロジャー・ウィリアムズ大学のアンドリュー・ライン(Andrew Rhyne)氏によると、取引の対象となっている熱帯魚は約1800種。他にも、生きたサンゴを含む数百種の無脊椎動物が売買されている。

 海洋生物を本来の生息地から持ち出す行為は、種の存続と生息地の両方に深刻な影響を及ぼす。

◆手段を選ばず

「ハワイなど、一部では漁業の管理がとても行き届いている」とライン氏は言う。オーストラリアやフィジーも観賞魚取引の管理に力を入れているが、フィリピンとインドネシアの実態はそれとは対照的だ。

 例えば、シアン化物は魚を失神させて捕まえやすくする毒物であり、フィリピンでは使用が禁止されている。カリフォルニア州アーケータにあるハンボルト州立大学の海洋研究所を率いるブライアン・ティッソ(Brian Tissot)氏によると、「それにもかかわらず、フィリピンから輸出される魚の約半分がシアン化物を浴びている」という。 ◆アメリカへ

 一方、需要面では、アメリカに輸入される観賞魚を追跡しようとすると気の遠くなるような作業が待っている。

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)が指定する種の輸入には監視が義務づけられており、専用のデータベースも存在する。しかし、指定された種のうち観賞魚取引の対象となっているのはイシサンゴとオオシャコガイ、タツノオトシゴのみ。2012年に行われたアメリカの海洋観賞魚取引に関する研究によると、米国魚類野生生物局(FWS)は観賞魚の大部分を海水熱帯魚(MATF)というカテゴリーにひとまとめにしている。

 アメリカに入ってくる魚の種類と数を知りたければ、シッピング・インボイスを一つ一つ調べる以外に方法はない。ライン氏らが2012年に発表した研究では、2005年の輸送データを調べるのに3年を要したという。

◆ニモブーム

 2003年に公開された映画『ファインディング・ニモ』の影響で、「ニモ(クマノミ)の需要は30~40%急増した」とライン氏は話す。同氏によると、幸いにもクマノミはすでに養殖されていたため、関心の高まりに応えることができた。「そうでなければ、野生のクマノミで需要を満たすほかはなかっただろう」。

 しかし、ナンヨウハギはそれほど幸運ではなかった。ライン氏によるとナンヨウハギの養殖は難しく、「インドネシアとフィリピンで過剰に捕獲されている」という。

 藻は、ナンヨウハギに食べられることで異常発生が抑えられている。ナンヨウハギがサンゴ礁から姿を消せば、サンゴが窒息する危険にさらされかねない。

 では、観賞魚を飼いたいと考えている人はどうすべきなのか? ライン氏は、自分で知識を身につけることが最も重要だと話す。「勉強する気がないのであれば、観賞魚を飼うべきではない」。

PHOTOGRAPH BY NICOLAS CEGALERBA. BIOSPHOTO/CORBIS

文=Jane J. Lee

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