齧歯類ツコツコの新種、4種を発見

2014.07.18
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
今回新たに発見されたツコツコ4種のうちの1種、クテノミス・レッサイ(Ctenomys lessai)。下はその頭蓋骨と下顎骨。4種は互いに独立に進化した。

Photographs by Scott L. Gardner / Museum of Texas Tech University; (below) Scott L. Gardner / Manter Laboratory / University of Nebraska-Lincoln
 ボリビア南部で、ホリネズミに似た齧歯類、クテノミスの新種4種が発見された。 クテノミスは「ツクツク」という短い音声を発することから、一般にはツコツコと呼ばれている。地面に穴を掘る小型哺乳類だ。4新種は、ネブラスカ州立大学博物館の学芸員スコット・ガードナー(Scott Gardner)氏の研究チームによって発見された。30年近くにわたり、アンデス山脈とその周辺の低地を散発的に現地調査した成果だ。

 ツコツコは成長すると体長30センチ、体重は1ポンド(450グラム)に満たない程度の大きさで、植物の根や草を食べて生活している。南米には38~60種が生息すると考えられており、ボリビアではこれで12種が確認されたことになる。

 ガードナー氏によると、調査隊が最初に今回の新種を見つけたのは1990年代初頭、“害獣”であるツコツコを駆除したがっていた地元の農家の協力を得てのことだった。ガードナー氏は最近クテノミスの全既知種についての博士論文を完成させたが、彼らが扱っている動物が当時未記載種であったことは早期に分かっていたという。

 ミトコンドリアDNAの配列によって、これらの種の遺伝的構成が他とははっきり異なることが確認された。これらのツコツコは、色や骨格の特徴など物理的な形質が異なるだけでなく、その染色体にも違いが見られた。

 研究に貢献した研究者仲間たちに敬意を表し、4新種はそれぞれクテノミス・エリカクエララエ(Ctenomys erikacuellarae)、クテノミス・ヤテシ(Ctenomys yatesi)、クテノミス・アンデルソニ(Ctenomys andersoni)、クテノミス・レッサイ(Ctenomys lessai)と命名された。記載論文は6月、テキサス工科大学博物館によって出版された。

「人間によって撹乱され、悪化している現在の環境で、これまで知られていなかった比較的大きな種が4種発見されるというのは驚くべきことだ」とガードナー氏は語る。加えて、彼のチームが所有するデータの解析を進めれば、さらにもう1新種を確認できる見込みだという。

◆生物の豊かな土地

 今回の発見は、ボリビア南部の「これまで正しく評価されてこなかった」並外れた生物多様性を立証するものでもあると、論文の共著者であるテキサス工科大学の生物学教授ホルヘ・サラサルブラボ(Jorge Salazar-Bravo)氏は話す。

 アンデス山脈、特に中央アンデスの断層(バックスラスト)帯の地形は複雑で、これが地域によって異なる微気候や生態学的条件を生み出している。それと同時に、特定の生物の移動とそれに伴う遺伝情報の交換を妨げる地理的障壁にもなっている。

 こういった状況は「特に地中に住む齧歯類の種多様性を促進させるかもしれない」とガードナー氏らは述べている。中央アンデスの断層帯が、彼らの言うところの“種分化エンジン”と考えられるであろうことも裏付けられるかもしれない。

◆進み行く進化

 論文では、ツコツコの起源はアンデス山脈が急速に隆起した直後らしいと述べられている。

 山脈が隆起するのに伴い、ボリビアの東側面に沿って南北に延びる、深く並行する谷と尾根の連なりが形成された。これが初期のツコツコの集団を分割することになった。

「可能性が高いシナリオは、この分集団の一部が1つの谷の中で北へ移動を始め、残りの集団は別の谷へ移動を始めたというものだ」とサラサルブラボ氏は語る。「これらの集団が互いに独立に進化するために必要な分離状態は、こうやって形成された」。

Photographs by Scott L. Gardner / Museum of Texas Tech University; (below) Scott L. Gardner / Manter Laboratory / University of Nebraska-Lincoln

文=Carson Vaughan

  • このエントリーをはてなブックマークに追加