サンゴの病気、一因は港湾工事

2014.07.17
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組織が腐敗する病気の一種、ホワイトシンドロームにかかったサンゴ。

PHOTOGRAPH BY F. JOSEPH POLLOCK
 オーストラリアのサンゴ礁が危険にさらされている。その一因は、石炭や天然ガスを運ぶ大型船舶の増加に対応するため、港を拡張していることだ。海底の土砂を取り去る浚渫工事がオーストラリア北西部のサンゴに及ぼす影響を調べた結果、このような結論が導き出され、16日付で「PLOS ONE」誌に発表された。 サンゴ礁が繁栄するための条件は澄んだ温かい水だ。港を建設、拡張するための工事は水を濁らせやすく、サンゴは光や餌を断たれることになる。

 堆積物で水が濁るとサンゴのストレスになることはすでに知られていた。しかし、16日に発表された論文は、長期に及ぶ大規模プロジェクトによって沿岸の海がかき回された場合の影響を調べたもので、世界的に有名なオーストラリア北東部のグレートバリアリーフが運命の分かれ道に立たされている今、特に重要性が高い研究結果と言える。

 世界遺産のリストを管理する国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)はこの2年、グレートバリアリーフを危機にさらされている世界遺産リストに登録すると警告している。

 グレートバリアリーフが危機にさらされているという懸念の一因は、クイーンズランド州で港の拡張計画が進められていることだ。拡張のために除去された海底の堆積物は、1つの生態系を形成するグレートバリアリーフの近くに捨てられる。

 今回の研究結果はそうした懸念を裏付けるものだ。

◆泥まみれ

 論文によれば、今より大きな船が通過できるよう航路を深くする作業で海底から立ち上る堆積物は、オーストラリア北西部に浮かぶバロー島(Barrow Island)の周囲でサンゴ礁の病気を倍増させているという。何カ月も堆積物にさらされた結果、サンゴ礁は慢性的なストレス状態に陥り、組織が腐敗するさまざまな病気にかかりやすくなった。

 ホワイトシンドロームと総称される病気にかかると、サンゴの組織がはがれ落ち、骨格だけが残る。研究に参加したジョセフ・ポロック(Joseph Pollock)氏は電子メールで取材に応え、次のように例えている。「まず、指先の肉がはがれ落ち、その範囲が腕から体中に広がる。そして、最終的には骸骨になる」。

 ジェイムズ・クック大学(James Cook University)の博士課程に所属し、クイーンズランド州のオーストラリア海洋科学研究所(Australian Institute of Marine Science)にも籍を置くポロック氏によれば、堆積物で濁った水がサンゴ礁のエネルギーを消耗させる理由はすでに解明されているという。濁った水にろ過摂食を妨げられ、摂食量が減るためだ。また、雨のように降り注ぐ堆積物の除去にもエネルギーを使わなければならない。

 ただし、インド太平洋でサンゴが減少している大きな要因が病気だったとはつい最近まで考えられていなかった。多くの場合、白化現象やオニヒトデによる攻撃が原因とされてきた。実際は病気がサンゴ礁の減少に多大な影響を及ぼしていると、ポロック氏は述べている。

PHOTOGRAPH BY F. JOSEPH POLLOCK

文=Jane J. Lee

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