4枚の羽根と長い尾を持つ羽毛恐竜

2014.07.16
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4枚の翼を持つ肉食恐竜の化石。最初期の鳥類が登場した時代、羽根を持つように恐竜がどのように進化したかを解明する手掛かりになる。

PHOTOGRAPH BY LUIS CHIAPPE
 羽毛恐竜は飛行に適応する過程で、安全に着陸する手段も獲得していたという。中国で発見された4枚の翼を持つ1億2500万年前の恐竜化石を調査した結果、驚くほど長い羽毛に覆われた尾が着陸時にブレーキの役割を果たしていたことが判明した。 1995年以降、中国北東部では、多数の羽毛恐竜の化石が発見されている。今回発見された肉食のチャンギュラプトル・ヤンギ(チャンギュは中国語で“立派な羽毛”の意)は、四翼を持つ恐竜として5種類目で最大となる。

 最初期の鳥類が登場した白亜紀の中頃、どのように恐竜は羽根を持つように進化したのだろうか。15日付で「Nature Communications」誌に発表された研究論文によれば、体重約4キロ、体長1.2メートルのチャンギュラプトルは初期の鳥類や哺乳類に襲い掛かっていた可能性が高いという。

 研究に参加したアメリカ、ロサンゼルス郡自然史博物館(Natural History Museum of Los Angeles County)のルイス・チアッペ(Luis Chiappe)氏は、「これだけの大きさだと、減速しながら下降しなければ地面に衝突するはずだ。尾を使って着陸時の速度を調節していたのだろう」と推測している。

◆化石の聖地

 チャンギュラプトルの化石発見者は中国遼寧省の農民たちだった。大量の火山灰に埋もれた地層には、1億年以上前の恐竜や昆虫、初期の哺乳類化石が良好な状態で保存されている。鳥類の起源を研究する上で最も衝撃的な発見が、体を覆っていた長い羽毛の痕跡が刻まれた恐竜化石の数々だっだ。チャンギュラプトルの尾の羽毛は、体長の4分の1に及ぶ30センチもあり、現生鳥類の尾に生えた羽毛よりはるかに長いとチアッペ氏は説明する。

 古代の羽毛を研究するロンドン大学のアシュリー・ヘールズ(Ashley Heers)氏は、初期の羽毛恐竜の典型例が示されたことで、飛行の起源や進化の解明に1歩近づいたと評価している。チアッペ氏らは空気力学的な分析も行っており、地面に向けて急降下しながら尾の方向を変えれば減速できることを証明している。

 ヘールズ氏は電子メールで取材に応え、現生の飛翔動物の場合、空中での軌道制御が捕食の成功の鍵を握ると前置きした上で、「最初期の飛行でも同様の能力が重要な役割を果たしていた可能性が高い」と分析している。

 錦州の渤海大学が化石を買い取る際には、誰かが化石の首部分をほぼ完璧に復元していた。「残りの部分に手は加えられていない」とチアッペ氏は話す。

◆飛行か、滑空か

 チャンギュラプトルが、森に暮らす鳥や魚、初期の哺乳類に襲い掛かっていた可能性は高い。ただし、4枚の翼を羽ばたいて飛行していたか、単に滑空していただけかはまだわからない。「羽根を使って飛行していたと私は考えている」とチアッペ氏は話す。

 イギリス、サウサンプトン大学の古生物学者ガレス・ダイク(Gareth Dyke)氏は、滑空に近かったと予想している。「保温から始まって現生鳥類と同様の形態まで、羽毛の発達段階は複雑だ。結論を出すのは時期尚早だろう」。

PHOTOGRAPH BY LUIS CHIAPPE

文=Dan Vergano

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