宇宙線の“ホットスポット”を発見

2014.07.10
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宇宙線の発生源を絞り込むために使用されたアメリカ、ユタ州のテレスコープアレイ。長時間露光の撮影により、上空を星たちが回っているように見える。

PHOTOGRAPH BY BEN STOKES / UNIVERSITY OF UTAH
 アメリカ、ユタ州の砂漠にある巨大な観測装置が北斗七星のそばに“ホットスポット”を突き止めた。地球に絶えず飛来している超高エネルギー宇宙線の主要な発生源かもしれないという。 1世紀余り前に発見された宇宙線は宇宙を飛び交う原子核で、時おり地球にも飛来する。大部分は太陽や近くの爆発している恒星を発生源とする。しかし、最も強力な宇宙線は天の川銀河の外から飛来しており、その発生源はいまだ特定されていない。

「Astrophysical Journal Letters」誌に掲載予定の論文の主執筆者で、ユタ大学の物理学教授を務めるゴードン・トムソン(Gordon Thomson)氏は、ホットスポットの発見によって問題が解決したわけではないと前置きしている。それでも、天文学者は空の特定の区画に集中できるようになる。

◆巨大な区画

 高エネルギー宇宙線の発生源と思われる区画を特定できたことは朗報だ。ただし、残念ながら、この区画はとてつもなく広い。北の空の40度に及び、満月の80倍に相当する円だ。

「とても大きな区画だ」とトムソン氏も認めている。「しかも、この区画にはいろいろなものが詰まっている」。

 この区画では特に大きなエネルギーを発生する出来事がいくつか起きており、トムソン氏らは注目している。例えば、大爆発している星が物質を吐き出したり、大質量ブラックホールがさらに大きなジェットを噴出したりしている。いずれも高エネルギー宇宙線の発生源である可能性を秘めている。

 トムソン氏らが使用した観測装置テレスコープアレイは、宇宙線が大気の上層にある空気の分子と衝突した際に生じるかすかな閃光や“二次粒子”のシャワーを発見してくれる。

 こうした閃光の方向を見るだけで、宇宙線の発生源を特定できるのが理想だ。しかし実際には、閃光の軌道は銀河間の磁場によって曲げられる。つまり、発生源を正確にたどるのは不可能ということだ。

 トムソン氏らは現在のところ、磁場の影響を受けた宇宙線の発生源が必ず含まれるかなり広い区画を示したにすぎない。

◆星に願いを

 ただし、これはスタートだ。ホットスポットの特定をきっかけに、さらに捜索範囲を狭めていくことができる。

 トムソン氏によれば、40度の区画で観測されるすべての宇宙線が本当に1つの発生源、例えば1つのブラックホールから来ていると仮定した場合、テレスコープアレイは最終的に捜索範囲を5度の円まで絞り込むことができるという。正確な位置が突き止められるわけではないものの、通常の望遠鏡で発生源を特定できる可能性は高まる。

PHOTOGRAPH BY BEN STOKES / UNIVERSITY OF UTAH

文=Michael D. Lemonick

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